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17歳の寄り道
第9章 【村上編】化学教師、村上浩輔
そう言いながらも浅野は、2年になってすぐ天文部に入った。
根は真面目な奴なのだ。

「そんなにセンセーが言うなら入部する」と父親が書いた入部届を持ってきた。

4月になってずっと欠席せず登校しているので、母親は家にいるのかと聞くと、浅野ははぐらかすような返事をした。
踏み込みすぎると閉ざしてしまうのはわかっていたので、俺もそれ以上聞くのはやめた。


「村上先生、またあいつサボってたんですがね。教官室まで来るように言ってもらえませんかね」

放課後、体育の藤田先生から声をかけられた。あいつとは浅野のことだ。
高校には来ているが、体育はサボりまくっているようだ。

「すみません、言っておきます」
「いやね、村上さんのせいではないですけどね。あいつは甘えてるんですよ」

藤田先生は苦虫を噛み潰したような顔をして、浅野の悪態を吐き続けていて、俺は中途半端な顔で、その話を聞き流していた。
最初は馬鹿正直に庇っていたが、たてつくと話が長引く上に興奮し始めるのだ。

浅野が甘えてるとは思わない。
あいつなりに、必死で自分の居場所を探している。

……ま、毎回サボられたらイラッともするかもしれないか。


話が終わり、校内をふらついているはずの浅野を探しに職員室を出た。

あいつがいる場所で思い当たるのは、体育館裏の一角。
そこまで行くのに廊下を歩いていると、窓際で、浅野と女子生徒がいた。

……白川といるのか。

「こんな所にいたのか。藤田先生が体育教官室で待ってるぞ。絞られて来い」

浅野は、いつも俺には見せないようなそわそわした様子で、俺は吹き出しそうになった。

「村上先生、うまく言っといてよ」
「面倒くせー、俺は早く帰りたいんだよ。知るか」
「チッ」

舌打ちをして、体育教官室へ行く浅野。
やれやれと溜息を吐くと、白川が憐みの眼差しで俺を見ている。
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