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17歳の寄り道
第9章 【村上編】化学教師、村上浩輔
今日は満月か…

ルームミラーから見える丸い月を見ながら、白川の家まで車を走らせた。
俺の車を見るや否や、笑顔で駆け寄ってくる。苦笑しながら窓を開け、コンビニの袋を差し出した。


「白川に差し入れだよ。」
「お菓子?くれるの?ありがとう」

制服を脱いだ彼女はTシャツを着てラフな格好をしている。胸の丸みが強調されているのが気にかかるが、そんなことは注意できない。

義父も見るよな…これじゃあ…。
そう思わされるほど、新鮮で艶めかしい色気を放ちながら、彼女は車の窓に手を置く。

「手を退けなさい。危ないから」

本当に危ないのは俺のちっぽけな理性だが、白川はしゅんと睫毛を伏せて手を離し、胸が痛んだ。


「今夜は満月だよ。月が明るいから、星は見えにくいけどね」


さっきルームミラーから見た、後方の空を指差した。白川は顔を上げてそちらを向き、少し笑顔を見せた。


「今夜は空を眺めながら寝なさい。また明日な。遅刻しないように」
「はい・・・」


右手のボタンを押した。窓が閉まって行く。その間も置き去りにされる捨て猫のような寂しげな目で、彼女は俺を見つめ続ける。

後ろ髪を引かれるような思いで発進させた。

情欲に引きずり込まれまいと逃げ帰るような事をしたが、もしあいつが本当に義父に何かされていて、俺を呼んでいたとしたら…と想像を巡らせる。

大丈夫だろうか。
これでよかったのだろうか。

彼女の力になる振りをしながら、その生徒に欲情しているなんて、自分でもにわかに信じられないでいた。

……明日は話を聞こう。学校でなら、俺も間違ったりしない。


疲れ切った俺は風呂に入り、リビング横の和室に敷いた布団に横たわる。リビングの吐き出し窓から丸い満月が見えている。

あいつも今頃夜空を見上げてるだろうかと考えながら、グレーのスウェットのズボンを少し下げ、力を失くしている男性器をしごき出す。

昨夜から休みなく白川の事ばかり考えている。
あんなに心配していた浅野のことも、頭から抜け落ちたかのようだ。
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