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17歳の寄り道
第10章 【村上編】急転
そして、思い切って苦言を呈した。

「年頃だし、付き合うなとは言わない。でも学校で危なっかしいことはするなよ」

こいつのあられもない姿を想像してオナっていた俺がよく言えたものだと思うが、心配している事に偽りはない。
特に校内で誰かにあんな場面を見られでもしたら、ただじゃ済まないだろう。これからの未来もつぶれてしまいかねない。

しばらくきょとんとしていた白川だが、俺が何を意味して言ったか思い当たったようで、顔を真っ赤にして肩を震わせた。混乱の色さえ見える。

「み…見てたの?」

見たくて見たわけじゃないと弁解したが、彼女の耳には入らない。

「どこまで見たの?裸も?私、どんな格好―――」

どんな格好…って…
いやらしい顔して浅野の上で腰を振ってた…なんて、こんな所で言えるわけねぇだろ。

取り乱す彼女を宥めたが、聞く耳を持たず、とうとう泣き出してしまった。


俺は頬杖をつき、涙をこぼす白川を眺めた。
泣き顔が似てるんだな…詩織に。
でも、もう白川は白川であって、詩織とは違う――。

撫でてやりたい。
抱きしめてやりたい。
下心なくそう思った。

「自己嫌悪で泣いている」と目にこぼれんばかりの涙を浮かべて言う彼女の涙を、そっと指ですくう。
白川はぴくっと体を硬直させたが、目を閉じて泣き続けていた。

て言うか、浅野よ。ずっと好きだった女を泣かせるようなことすんな。
こんなに泣かせて…もっと大事にしろよ。

俺が辞めたら、浅野に説教もできねぇし、こいつが泣いててもどうにもしてやれないんだな。
ここの職場にはそこまでの未練は持たないが、危なっかしいこいつらの行く末は心配だ。


白川の涙は止まる気配がない。俺はポケットのハンカチを彼女に差し出し、呟いた。

「危なっかしいなあと思うけど、俺は好きだよ。大事な生徒だよ」

大事に思っているよ。
白川も、浅野も、A組の連中も。
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