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17歳の寄り道
第10章 【村上編】急転
「お母さんとは、話をしてないのか」

話を切り出すと、白川は言いづらそうに俯く。

「べつに、何も。…心配かけたくないの。私が話をすると、何でも心配しちゃうし。怒るし…」
「母親に心配かけずに、俺には心配かけるのか」

俯く顎を軽く掴んで、剥き卵のような彼女の頬を潰した。吸いつくような肌に俺の指が埋まり、すっと解放する。

「しかし、盛りのついた雌猫みたいだな。困ったもんだな。寂しいんだろうけど…」

白川は寂しさの自覚がなかったようだった。
俺には、そのせいだとしか思えないのだが。

こんな調子じゃいずれ病気だってもらうだろうし、望まない妊娠だって………危なっかしくて心配だ。自分を傷つけて得る安心など、本当の安心じゃない。
俺はメガネを外し、ダッシュボードに置いた。

「白川が、虚無感やストレスをセックスで満たそうとしているのはわかってるよ。でも、他の男を渡り歩くのは心配で見ていられない。本当に好きな男相手なら何も文句はないけど、そうでもないようだし……」

話し始める俺を、相変わらずきょとんとしたまま話を聞いている。
…聞いてるのか?

「セックスを知ったのなんて、数日前だよ。数回しかしてないし」

白川は、きっと俺を睨んで、そんなにセックスばっかりしてるわけじゃないと憤慨した。
そういうこと言ってんじゃねえよ…と力が抜ける。

「その数回のうちの一回に俺は立ち会ったのか」
と返すと………笑ってやがる。わけわかんねえ。

「そんなに心配ならさ、先生が相手してくれたらいいじゃん」
「は?」
「そしたらセックスの相手…先生だけにするよ」
「…………」

白川は、じりっと俺に顔を寄せる。豊満な胸が寄せられ、谷間が強調されている。

俺を試してるのか?

……でも、このままじゃ手当たり次第男に迫るだろうし、それは心配で見ていられない。

本来は浅野がしっかりしてほしいが――それも無理だろう。
あいつはあいつで、おそらく今は他人を支えるキャパなどない。
それなら、こいつが寂しい時は全て俺が相手すれば、まだ……

こんなこと、非常識で馬鹿げているのはわかっている。
しかし、放ってはおけない。


「それでいいなら、そうするか。いいよ。やってみても」
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