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17歳の寄り道
第1章 【碧編】17歳、白川碧
浅野君のジーンズと新品のボクサーブリーフを借りた。
我ながらとてもずうずうしいが、恐怖の後に縋る相手がいてよかった。気が紛れた。

それらを穿いて彼のいる部屋まで行くと、浅野君は畳の上であぐらをかき、私の気配に気づいて顔を上げる。

「あ…上の服もいるよな。下ジーパンで上セーラー服じゃもんぺじゃん」
「プッ」

本当だ。
くすくす笑いが止まらない。浅野君は服を取りに行ってくれて、部屋に一人残る。

おうちの人はいつ帰ってくるんだろう。
綺麗なおうちだし、散らかってもいないし。

失礼だが、もっと荒れた家庭環境を想像していたので、浅野君はきちんと育てられているのだなぁと感じた。

なぜ、浅野君は日頃あんなに反抗的なのだろう。こんなに気遣うこともできる人なのに。
何か理由があるのかな…?

階段を降りてくる音がして、ハッと振り返る。
浅野君が私の胸元にロンTを投げた。
あたふたと両手でキャッチする姿を見て、浅野君はくくっと笑った。

「ダセッ」
「運動苦手なの…」
「ハハッ」

いや、待て。
さっき、もっとダサい事になってたのに…私…

「おもらししたって…笑わないんだね」

ぎゅうとロンTを抱きしめて、恨めしい顔をして浅野君を見る。

「いや、笑えねえだろ、あれは…」
「ありがと…」
「無事でよかったよ。送るよ。家まで」


汚れたスカートを入れた袋と鞄を持ち、家を出た。
とめてある自転車を見た浅野君が言う。

「白川の自転車、後ろついてんじゃん。乗せてやるよ」
「いいよぉ、悪いよ。それじゃ浅野君、帰り歩かなきゃダメだよ?」
「じゃあ、帰りも貸して。明日の朝迎えに行って、乗っけてやるよ」
「え?」

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