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17歳の寄り道
第1章 【碧編】17歳、白川碧
すぐには流れが理解できなくて、再度説明を求めた。

浅野君の自転車には後ろの荷台が付いていないので二人乗りができない。
私の自転車ならできるので、それで朝迎えにきて、二人乗りで登校しようという提案だった。

いつもなら断りそうなものだが、恩を受けたこともあり、浅野君への警戒心が薄れかけていた私は、来てくれるならそれでもいいかなと思った。

浅野君が私の白い自転車には跨り、サドルに足を掛ける。
その後ろに跨り、サドルの後ろを持った。

「腰ギュってしといて、グラグラすっから」
「ああ、うん…」

浅野君の白いシャツにおずおず、遠慮しながら手を回す。
汗ばんだ匂いと、さっき洗面所でかいだ香りが混じっていて、もっと近くで嗅ぎたくなる。

私は、変態かもしれない。
ギュっと体をくっつけてみたら、浅野君は私の手を持った。彼の体温にすごくホッとして、心の深い部分で安心する。

「ちょ待って、勃ってきた」
「勃…」

え!?

ぱっと手を離そうとしたら、「あぶね!」と腕を握られる。

「離すな。あぶねぇな」

ぎゅうと力が込められて、ひときわ強く心臓が波打った。

「クッソ!ヤリてー!」
「……最低」
「ヤラねーよ!公園のおっさんと一緒にすんな」
「一緒だとは思ってないよ」

村上先生は…浅野君が私を好きだと言っていたけれど、そうなのかな?
私も浅野君を知りたいと思っているし、今みたいにずっと手を握られていたいと願っている。

これは何なんだろう…
発情なのか、恋なのか。

昨日まで、まともに話したこともなかった相手なのに、こんな感情を抱くのは軽率なのかな。

家の前に着き、浅野君の背中から手を離して下りた。
前かごに入れていた鞄と袋を浅野君が取り上げて渡してくれた。

「今日はホントにありがと…」
「別に、礼言われるほどじゃねーし」

悪ぶる彼はどこか恥ずかしそうにも見えた。

「明日、迎えにくるから。寝坊すんなよ」
「浅野君のほうが遅刻ばっかしてんじゃん!浅野君が遅れたら私も遅刻になっちゃうよ」
「そうなったら一緒にサボる?」
「サボらない」

不安が残る約束ではあったけれど、浅野君はそう言いながら来るんじゃないかと思った。
村上先生が言っていた、素直な部分を、私も何となく感じ取ったからだ。

街灯に照らされる彼の薄茶の髪が風に揺れ、浅野君は「じゃーな!」と帰って行った。
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