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17歳の寄り道
第15章 【千晴編】17歳、須賀千晴
いっそ普通科に入学していたら、こんな思いはせずに済んだんじゃない?…と思いながら、落ちるのが悔しいプライドもあって、1年の学年末は泣きながら勉強し、なんとかA組のまま進級できた。

碧は頭がいいから、よくノートとか貸してくれていたし、勉強も付き合ってくれることもあったけど、常に劣等感はあって、自力で何とかしなきゃなぁといつも思っていた。


そんな中、放課後には楽しみがあった。ブラスバンド部の活動だ。
私の担当はクラリネット。コンクール前とか、練習がキツイ時もあるけど、みんなで合わせて演奏している時間は、何にも替え難い結束感があって、それが気持ち良かった。

そして、校舎の最上階にある音楽室からは校庭が広く見渡せる。
第一運動場はサッカー部が使っていて、奥の専用グラウンドでは野球部が懸命に球を追っている。

私はよくサッカー部を見ていた。……と言っても、目当ては部員じゃない。

藤田先生。
保健体育の先生で、生徒指導もしている。サッカー部の顧問。
厳ついルックスで、そこそこ若く見えるけど、担任の村上よりは少し年上らしい。
早くに結婚していて、大きい子供がいるって噂を聞いたことあるけど…あんな怖い男の奥さんってどんなんだろう…?子供に対しても怒ってばっかりなのかな。

その程度の興味だが、姿を見かけたら目で追っていた。
目が離せないといったほうが正しいかもしれない。


なんで私は、彼氏もいたのに、そんなオッサンを気にしていたのか。


それは―――……


「またお前か……」
「こっちの台詞です、先生」

うちの家からは駅まではバス20分、駅からは電車で20分。
使っているバス、駅、電車が一緒で、朝の通学がずっと一緒なのだ。

学校も、そんなに都会にあるわけではないのだけど、私と藤田先生のバス停はさらに田舎にあって、のどかで静かな場所だった。
したがって本数も少なく、藤田先生が乗っているバスに私が乗り込み、駅まで通っていた。
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