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17歳の寄り道
第17章 【千晴編】夢の終わり
帰りは、ずっと沈黙だった。
私のバス停まで送ってくれるという事で、混雑のない田舎の道をただ静かに走り抜けていき、あっという間に着いてしまった。
「着いたぞ」
降りたくない。まだ一緒にいたい。
でもきっと、先生が今叶えられる範囲で応えてくれたのだろうから、最後に困らせたくはない。
「ありがとうございました」
ぺこりと礼をしてバッグを持ち、ドアを開けようと先生に背を向けた。
「17歳、おめでとう」
ドアが開いて、道路に足を下ろした瞬間、確かに聞こえて来た。振り向いても、先生はもう私を見ていない。
「あ…ありがとうございました!」
お礼を言っても、先生は私を一瞥する事もなく、車は発進した。
………終わった。
夢のような、特別な時間が。
なんで、今日に限って生理が来たのか……。
それが無念でならない。
俯き、舗装されていない砂利道を小さな歩幅で進む。辺りは暗がりの道だ。
時刻は11時前。前日は緊張して寝られなかったから、長い時間寝てしまったな…。
先生も寝ていたのかな?
スマホの受信を確かめると、碧からLINEが来ていた。
『千晴、誕生日おめでとう!
明日はバイト休みだから、
凛太と聴きに行くからね!』
そうだ、サマーコンサート。
明日のコンサートは大きなホールで催される上、演目の中でもトリを飾り、部の士気も高まっている状態だ。足を引っ張らないようにしないといけない。
藤田先生と過ごした時間にずっと浸っていたいけれど、そうはいかないな…
――17歳、おめでとう。
降り際先生は、どんな顔をして言ってくれたのだろう。
……先生のことだから、笑ってはいないか。
少しでいいから、見たかった。
張り裂けそうなほど胸が痛い。
先生と過ごせることはもうないのに、思い出にできそうにもない。他の人を好きになれそうにもない。
勝手に好きでいるだけなら、先生は許してくれるかな。
それも、ダメだって言うかな。
……先生は、また、私と話してくれるかな。
2学期のバスは、また隣に座ってもいいのかな……
それだけは取り上げないでほしい。
私のバス停まで送ってくれるという事で、混雑のない田舎の道をただ静かに走り抜けていき、あっという間に着いてしまった。
「着いたぞ」
降りたくない。まだ一緒にいたい。
でもきっと、先生が今叶えられる範囲で応えてくれたのだろうから、最後に困らせたくはない。
「ありがとうございました」
ぺこりと礼をしてバッグを持ち、ドアを開けようと先生に背を向けた。
「17歳、おめでとう」
ドアが開いて、道路に足を下ろした瞬間、確かに聞こえて来た。振り向いても、先生はもう私を見ていない。
「あ…ありがとうございました!」
お礼を言っても、先生は私を一瞥する事もなく、車は発進した。
………終わった。
夢のような、特別な時間が。
なんで、今日に限って生理が来たのか……。
それが無念でならない。
俯き、舗装されていない砂利道を小さな歩幅で進む。辺りは暗がりの道だ。
時刻は11時前。前日は緊張して寝られなかったから、長い時間寝てしまったな…。
先生も寝ていたのかな?
スマホの受信を確かめると、碧からLINEが来ていた。
『千晴、誕生日おめでとう!
明日はバイト休みだから、
凛太と聴きに行くからね!』
そうだ、サマーコンサート。
明日のコンサートは大きなホールで催される上、演目の中でもトリを飾り、部の士気も高まっている状態だ。足を引っ張らないようにしないといけない。
藤田先生と過ごした時間にずっと浸っていたいけれど、そうはいかないな…
――17歳、おめでとう。
降り際先生は、どんな顔をして言ってくれたのだろう。
……先生のことだから、笑ってはいないか。
少しでいいから、見たかった。
張り裂けそうなほど胸が痛い。
先生と過ごせることはもうないのに、思い出にできそうにもない。他の人を好きになれそうにもない。
勝手に好きでいるだけなら、先生は許してくれるかな。
それも、ダメだって言うかな。
……先生は、また、私と話してくれるかな。
2学期のバスは、また隣に座ってもいいのかな……
それだけは取り上げないでほしい。