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17歳の寄り道
第18章 【碧編】碧の夏休み
「碧…」

遥がベンチから立ち上がる。
すると、凛太が私の後ろから遥に、ひょこっと顔を出す。

「こんにちはー!」

「えっ。」

たじろぐ遥に、慌てて弁解した。

「………ごめんね、気付いたらお義父さんいなくて、連れて来ちゃった…LINEしたんだけど、そんな問題じゃないよね……ごめんなさい……」
「あ、見てなかった。………ほんとだな」

遥は自分のスマホを見、すぐにポケットに戻す。
イチャイチャはできませんがよろしく…という目をすると、遥がそれを察したかのように苦笑した。

遥が凛太の前にうずくまり、そっと小さな手を取る。

「……おまえが凛太か。お姉ちゃんから聞いてるぞ」

久しぶりに会った遥は、髪の色が暗くなっていて。瞳の色が薄いのは変わってない。ヤンキーぽさは消えて、普通の高校生みたいだ。

「うん。はるかおにいちゃん?」
「呼び方なげぇ」
「“はるくん”でいいんじゃない?」
と口出しをすると、凛太がちょっと照れながら、もじもじと「はるくん…」と言った。

「はい」

遥が答えると凛太の顔が明るくなり、私の手を離して遥の足に抱きつく。


「やっぱり碧にも似てる。兄弟だな」

そう言って笑う顔は、春よりも大人びて見える。
凛太と遥のやりとりにも、何故だか泣けて来てしまいそうだった。

手を繋いでいる二人の後ろを歩いていたら、遥が振り向く。

「見てるんじゃねえ、参加しろ」

ふふっと笑いながら追いつき、私が凛太の右手を取り、遥が凛太の左手を取って歩く。

「ファミレスでいいかー。凛太もパフェ食う?」
「あっ、だめっ、あんまり甘いもの教えないで。まだ虫歯ないの」

咄嗟に止めると、遥が笑い出した。

「…まるで母ちゃんだな(笑)」
「そんなことないよ、…ホットケーキぐらいならいいけど、あのクリームたっぷりなのがさ…」
「ハイハイ。凛太、ホットケーキ食う?」
「食う!」
「あっ、言葉づかい!『食べる』だよ、遥、凛太も」
「ハイハイ、ごめんな母ちゃん」

遠恋の彼女から、母ちゃんになってしまった。
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