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17歳の寄り道
第20章 【碧編】窮地
次に目を開けた時は、村上先生は私を車に置いて、道端で電話をしていた。



……ここは、家の前……?



いつも先生がプリンをくれる時に停めていた場所。
ガードレールに寄り掛かって話す先生の横顔と長い脚を見つめる。

表情はけして穏やかではなく、車の中からでも話がスムーズではないのは理解した。

でももう、割り込む気力もない…

遥、きっと今心配してる。
連絡したいけれど、スマホも切れているし…
凛太は今どうしているのか――。


程無くして村上先生が振り向き、私が起きていることに気付いたようだった。
スマホを耳に当てながら近づいてきて、ドアを開ける。



「……碧さんが起きた様なので……またすぐに電話します…はい。失礼します」

その話し方で、相手は母である事がわかった。
先生は通話の終わったスマホをポケットに入れながら話す。


「自宅には誰もいないみたいなんだ。いても、出て来ないだけかもしれないけど、玄関の鍵は開いたままだ。もし、凛太君が一人なら、そのままにするのも危険だし、一度中を見ていいか?」

「私も入るの…?おとうさんがいたら、怖い…」

「俺が入るから大丈夫だよ。お母さんには了承もらったから、白川は車の中で待っていればいい。……やはり少し気が動転されてたけど、……ごめん。事実を伝えたよ」

「うん……」


こんな顛末を聞かされた母の気持ちを思うと、辛く苦しいけれど……

私はずっと、我慢してきたのだ。
母の幸せのために。
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