この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
17歳の寄り道
第21章 【碧編】夏の幻
「うわっ……痛そう…」
改めて、ライトの下で捻った足を見ると、赤く腫れあがっていた。足の裏の傷どころの騒ぎではない。
これは、病院行かないとだめかな…。
タオルでそっと足を拭き、壁を伝ってリビングに戻った。
あれ?誰もいない。
客間ってどこ?
2階かな?
恐る恐る、広いリビングと小上がりの和室を見回していると、村上先生が中庭に立ち、煙草を吸っているのが見えた。
ほのかに白んでいた空は、さっきより明るくなっていた。
「先生、今日仕事は?」
私の声に先生は静かに振り向き、煙草を消して部屋に戻って来た。
「大丈夫だよ。今日は研究所勤務はなくて、学園の残りの仕事だけだから」
「……残り……」
「急ぎのものはないから、大丈夫だよ。リビングを出て突き当りの客間に凛太君を寝かせているから、二人で寝てなさい。浅野も9時…10時には来るかな」
「……うん。先生、ごめんなさい…こんなに、迷惑かけて…」
村上先生の背中に、そっと手を当てる。
先生は、「そんなことないよ」と背中を向けたまま、言った。
「先生……湿布ある?」
「え?ああ、捻ったんだな。確かあるはずだけど…ちょっと待ってて。そこ座ってなさい」
言われたようにソファにすとんと腰掛けると、先生は和室の箪笥から湿布を取り出して持ってきてくれて、私の隣に座った。
「うわっ!酷いな!」
村上先生が、視界に入った私の足を見て衝撃的に驚いていて、その仕草につい吹き出す。
ずーっと笑い続けていると、先生も苦笑し始めた。
「……そんなに面白かった?」
「ふふっ、なんか…張りつめてたのが、今ので緩んじゃったよ。先生の驚いた顔が……」
「……そうか。泣いてるよりは笑ってる方がいいよ。足、出して」
先生は、湿布とホワイトテープを取り出し、薄いフィルムを剥がす。
そっと出した右足に、ぺたりと湿布を貼ってくれた。
冷たさにぴくっと足を動かす。
「つめたい」
「だろうね。冷湿布だからね。ちゃんと鎮痛成分入ってるよ」
化学の先生らしく(?)、成分や副作用など説明してくれながら、ホワイトテープとネットで軽く固定し、応急手当が完了した。
「わあー、ありがとう」
処置してくれた足をにこにこしながら見ていると、先生はまた苦笑している。
改めて、ライトの下で捻った足を見ると、赤く腫れあがっていた。足の裏の傷どころの騒ぎではない。
これは、病院行かないとだめかな…。
タオルでそっと足を拭き、壁を伝ってリビングに戻った。
あれ?誰もいない。
客間ってどこ?
2階かな?
恐る恐る、広いリビングと小上がりの和室を見回していると、村上先生が中庭に立ち、煙草を吸っているのが見えた。
ほのかに白んでいた空は、さっきより明るくなっていた。
「先生、今日仕事は?」
私の声に先生は静かに振り向き、煙草を消して部屋に戻って来た。
「大丈夫だよ。今日は研究所勤務はなくて、学園の残りの仕事だけだから」
「……残り……」
「急ぎのものはないから、大丈夫だよ。リビングを出て突き当りの客間に凛太君を寝かせているから、二人で寝てなさい。浅野も9時…10時には来るかな」
「……うん。先生、ごめんなさい…こんなに、迷惑かけて…」
村上先生の背中に、そっと手を当てる。
先生は、「そんなことないよ」と背中を向けたまま、言った。
「先生……湿布ある?」
「え?ああ、捻ったんだな。確かあるはずだけど…ちょっと待ってて。そこ座ってなさい」
言われたようにソファにすとんと腰掛けると、先生は和室の箪笥から湿布を取り出して持ってきてくれて、私の隣に座った。
「うわっ!酷いな!」
村上先生が、視界に入った私の足を見て衝撃的に驚いていて、その仕草につい吹き出す。
ずーっと笑い続けていると、先生も苦笑し始めた。
「……そんなに面白かった?」
「ふふっ、なんか…張りつめてたのが、今ので緩んじゃったよ。先生の驚いた顔が……」
「……そうか。泣いてるよりは笑ってる方がいいよ。足、出して」
先生は、湿布とホワイトテープを取り出し、薄いフィルムを剥がす。
そっと出した右足に、ぺたりと湿布を貼ってくれた。
冷たさにぴくっと足を動かす。
「つめたい」
「だろうね。冷湿布だからね。ちゃんと鎮痛成分入ってるよ」
化学の先生らしく(?)、成分や副作用など説明してくれながら、ホワイトテープとネットで軽く固定し、応急手当が完了した。
「わあー、ありがとう」
処置してくれた足をにこにこしながら見ていると、先生はまた苦笑している。