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17歳の寄り道
第2章 【碧編】恋
東野君が手を振ってきたので、私も明るく振り返す。
浅野君は興味なさそうな顔をして、先に下足室に向かった。

「おはよ、…浅野と一緒に来たの?」

「うん」


隠すのも変かなーと正直に答えたら、東野君は露骨に嫌そうな顔をする。


「やだな…」

「えー、何で?浅野君いいひとだよ」

「何でって、…わかんない?」


じいっと瞳の奥を覗き込むように問われて、心臓が跳ねる。
パッと目をそらしたら、東野君はふっと笑顔を見せ、私の隣を歩き出した。

歩幅を合わせてくれながら下足室に着き、私は自分のネームプレートが入っている上の方の靴箱を開け、東野君は下の方にある靴箱を開く。

少し背伸びして上靴を取ると、東野君の髪がスカートの先に触れた。


「あ、ごめん」

「ううん。中は見えなかったから大丈夫だよ」

パンティーは見えなかった…と。
東野君もそんなこと言うんだな。
そんなに、ミニスカートにはしていないのだが。

その瞬間、「白川さんはみんなのオナペットだ」という浅野君の発言を思い出した。


「東野君は彼女いるの?」

さっき、浅野君に聞いたのと同じようにストレートに尋ねたら、東野君の顔が耳まで真っ赤になった。

「…いないよ。なんでそんなこと聞くの…」

明らかにドギマギしている東野君に、じゃあエッチはしたことあるのかと尋ねたかったが、嫌な思いをさせてはいけないと踏みとどまった。

昨日まで意識していた東野君なのに、彼女がいるかどうか聞くのも、なぜか平気になっていた。

感情がガラリと入れ替わってしまったようだ。
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