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17歳の寄り道
第21章 【碧編】夏の幻
心地よい、雲の上はこんな感じだろうか。
夢の中なら、空を飛べそうなぐらい体も軽いし、何の心配もない。



母は笑ってるし、凛太も、遥も、千晴もいて。



どこまでが夢で、どこまでが現実?



捻挫したのは、夢?



遥がいるのは、現実?



村上先生と寝ているのは………


これは、夢か。



夢の中の村上先生は、添い寝をしながら私を抱きしめていて。
私も、同じぐらい…先生を離さないでいる。

先生の唇が、私の頬をかすめて、大きな手が背中を撫でる。

「もう大丈夫だよ」と囁きながら。
もっと撫でられたくて体を寄せ、先生の胸に頬をすりつけ、唇を当てた。

夢の中で、私は先生のシャツの上からキスをする。何度も、何度も。
すると、先生の手が背中から離れる。

やめないで、と先生の首筋に唇を当て、抱きついて全てを密着させた。


先生は私に何かを言うのだけれど、……よくわからない。
ただ、離れないでほしくて、先生の首に腕を絡めて抱き締めた。


先生の唇を指で辿ると、私の手を取って首を振る。
そして、私の頬にキスをした。




「キスも……セックスも、もうしない」



村上先生は、そう私に囁く。



何か返事したくて、声を出そうにも出ない。声にならない声を出してもがくけれど―――。






「好きだよ。でも、覚えてなくていいから…」



「嫌だった出来事と一緒に、全部忘れて」






やけにリアルな村上先生の声に、ハッと目が覚めた。




夢?




先生は………いない。



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