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17歳の寄り道
第21章 【碧編】夏の幻
………今、何時?
現実のような夢。激しい鼓動に胸元を押さえながらスマホを見る。
もう9時前……もうすぐ着くという連絡が遥から入っていた。
母からもメールが入っている。
はあ…。まだドキドキしてる…
一息つき、隣で寝ている凛太の頭を撫でた。
随分よく寝るなぁ…と思っていたが、熱い。
「凛太…大丈夫?お熱?」
横向きだった凛太を少し抱き上げて、額に手をやると――かなり熱い。昨日から大人しかったし、体調が悪かったのかもしれない。
「……凛太、お茶…飲む?」
凛太は薄目を開けてこくんと頷き、具合が悪そうにはあはあと息をしていた。
どうしよう……。病院はもうすぐ開く時間。
保育園リュックの中を探ると、保険証のコピーが出てきた。
村上先生に頼んで、車出してもらおうか…
凛太がこんな時に、なんて夢見てたんだろう。
「ちょっと待っててね」
よたよたと立ち上がりリビングに行くと、出掛ける準備をしている先生がいた。
「あっ…先生、どこ行くの?」
「浅野を駅まで迎えに行く支度をしてるんだけど、どうした?」
先生は車のキーを持っていて、今にも家を出て行きそうなところだった。
「凛太が熱出しちゃって……冷やすものとか、お水とか、ある?」
「熱?小さな保冷材ならあるけど、熱は高い?」
「うん、高そう……」
先生は冷蔵庫を開け、お茶と保冷パックを出してくれた。
コップに冷たいお茶を注ぎ、保冷材はタオルに包んで、先生と一緒に凛太の元へ行く。
ドアを開けると凛太は布団の上に座って、タオルケットを抱きしめていた。
「凛太、大丈夫?」
「あおいちゃん……」
「凛太君、お茶だよ」
先生がコップを差し出すと、凛太はふらふら立ち上がり、私の影に隠れてしまった。
「う…うう…うわあああん。こわい……」
「……ちょっと凛太、村上先生怖くないよ」
「わああああん、いやあ~~」
体調が悪いせいもあるのだが、泣きだすと止まらない。
「……これ以上刺激するのもいけないから…浅野を迎えに行ってくるよ」
凛太が興奮するばかりで埒が明かず、先生は体温計だけ私に託し、駅にいる遥を迎えに出た。
凛太にしてみれば、急に知らない場所に連れて来られて、知らない人がいて、……確かに怖いだろうけど、散々お世話になっているのに、先生にとってはあんまりでもある。
現実のような夢。激しい鼓動に胸元を押さえながらスマホを見る。
もう9時前……もうすぐ着くという連絡が遥から入っていた。
母からもメールが入っている。
はあ…。まだドキドキしてる…
一息つき、隣で寝ている凛太の頭を撫でた。
随分よく寝るなぁ…と思っていたが、熱い。
「凛太…大丈夫?お熱?」
横向きだった凛太を少し抱き上げて、額に手をやると――かなり熱い。昨日から大人しかったし、体調が悪かったのかもしれない。
「……凛太、お茶…飲む?」
凛太は薄目を開けてこくんと頷き、具合が悪そうにはあはあと息をしていた。
どうしよう……。病院はもうすぐ開く時間。
保育園リュックの中を探ると、保険証のコピーが出てきた。
村上先生に頼んで、車出してもらおうか…
凛太がこんな時に、なんて夢見てたんだろう。
「ちょっと待っててね」
よたよたと立ち上がりリビングに行くと、出掛ける準備をしている先生がいた。
「あっ…先生、どこ行くの?」
「浅野を駅まで迎えに行く支度をしてるんだけど、どうした?」
先生は車のキーを持っていて、今にも家を出て行きそうなところだった。
「凛太が熱出しちゃって……冷やすものとか、お水とか、ある?」
「熱?小さな保冷材ならあるけど、熱は高い?」
「うん、高そう……」
先生は冷蔵庫を開け、お茶と保冷パックを出してくれた。
コップに冷たいお茶を注ぎ、保冷材はタオルに包んで、先生と一緒に凛太の元へ行く。
ドアを開けると凛太は布団の上に座って、タオルケットを抱きしめていた。
「凛太、大丈夫?」
「あおいちゃん……」
「凛太君、お茶だよ」
先生がコップを差し出すと、凛太はふらふら立ち上がり、私の影に隠れてしまった。
「う…うう…うわあああん。こわい……」
「……ちょっと凛太、村上先生怖くないよ」
「わああああん、いやあ~~」
体調が悪いせいもあるのだが、泣きだすと止まらない。
「……これ以上刺激するのもいけないから…浅野を迎えに行ってくるよ」
凛太が興奮するばかりで埒が明かず、先生は体温計だけ私に託し、駅にいる遥を迎えに出た。
凛太にしてみれば、急に知らない場所に連れて来られて、知らない人がいて、……確かに怖いだろうけど、散々お世話になっているのに、先生にとってはあんまりでもある。