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17歳の寄り道
第23章 【遥編】受診
「溶連菌かな。紅斑も出ているし、喉も赤い。ちょっと検査するね。お兄さん、ちょっと凛太君ギュってしてくれるかな」

「あ、はい」

「こっち向けて体抱っこして、そうそう。凛太君、もう一度あーんってできるかな。『あー』って言ってみて。……そう」

「う、うわあああああん!!!!」

俺が凛太を抱きしめている間に、大口を開けて叫ぶ凛太に先生は何やら突っ込み終了した。
耳をつんざくような悲鳴が上がったのに、丸メガネの先生はにっこりと頷くだけ。


「二人とも、上手だったよ。」




検査結果の出る10分後にまた呼ぶと言われ、待合室に戻る。

子供の受診って大変だな…。
きっと碧はこんなこともやってるんだな。

「おい凛太。水飲むか?」
「いらない…ごっくんしたらいたい…」
「そうか」

丸メガネ先生も喉赤いって言ってたっけ。
確かに見ていると喉がつらそうだな。
何食わせたらいいんだろう。ゼリーとか、プリン?

そして、だんだん待合から人が減っていき、再び診察室に呼ばれた。
検査結果が陽性なので、抗生剤を出すと言われ、後日尿検査をするだとか、薬しっかり飲めとかいろいろ説明を受けた。

寝てれば治ると思っていたのに、なんか大変だな。
そう思っていたら、丸メガネの先生が、目を細めながら俺の顔をじっと見ていることに気付いた。


「君は…この子のお兄さん?」
「あ、違います。今日は家族の代わりに連れてきていて…」
「そうだよね」

先生はにこにこと微笑んでいる。


「……お父さんに…浅野先生によく似ているね。すぐわかったよ」


突然の父親の話に、少し警戒した。
でも、父親の知り合いがこの辺りで開業していても何ら不思議ではない。

「父をご存じなんですか?」
「ああ。僕も、あの病院にいたからね。……遥君は覚えていないかな」

俺の事も知ってるのか?
俺の警戒に反して、先生は穏やかだ。


「君が入院していた頃ね。僕もいたんだよ、その場に。当時、君の主治医だったんだけど…本当に小さかったから、覚えてはいないかなぁ」

昔を思い出す先生の様子が、本当に嬉しそうで。
凛太も泣くのをやめて、大人しく俺に抱かれている。

「今はもう、発作は起きない?」
「あ、はい…もう…今は…普通に生活を……」
「そう。よかったね。広瀬さんは元気にしている?」

広瀬は母親の旧姓で、今の俺の名字だ。
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