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17歳の寄り道
第24章 【遥編】3日間
あいつの性格上、母親に彼氏の話などはしなさそうな気がする…
ちなみに、俺も家族には碧のことはまだ何も話していないし、今日は何も言わずに出てきてしまった。


村上とリビングに戻る。
碧たちの話は聞こえないけど、いい形で話が終わるといいな。
冷蔵庫を探っている村上は、おもむろに「食うか」とプリンをテーブルに出した。

「ありがと。これまだある?凛太に食わせたいんだけど」
「ああ。あと一つあるよ。これも食え」

けさのパンも勧められ、無駄にこじゃれたパンを男二人で食い始めた。

「……で、お前は今日帰るのか。」

村上は、テーブルにあったリモコンを片手にテレビをつけ、俺に言った。

「………あのさぁ…何日か泊まっていい?」

へへっと笑いながら聞くと、村上は顔を歪めて溜息をついていた。グラスに氷を入れ、ミネラルウォーターを注いでいる。


「碧も心配だけど……ちょっと、会いたい人間もいるし……」
「まあ、それは浅野の好きにしたらいいけど、今日ここに来る事はお母さんに言って来たのか」
「何も。」
「……やっぱりな。親御さんに心配掛けんなよな…」

村上はますます顔を歪めながら氷水のグラスを渡してくれた。
昼の報道バラエティーが流れ、頬杖をつきながらそれを観る。

「……父さんの顔見てから、帰る」

ついていたテレビ番組には全く興味はなかったけど、何となくそっちに目を向けていたら、視界の片隅で村上が微笑んだのが見えた。

「いいんじゃないか。お母さんには俺からうちに泊まるって連絡してもいいよ。その代わり、お母さんがだめだって言ったら帰れよ」
「……偉そ…」
「何だと。俺は大人なんだよ。お前みたいなサルとは信用も経験も違うわ。」

碧の前や、学校では紳士ぽく振舞ってるのに、俺にはこれだからな。
テレビを見ながら足を組むと、また村上の視線に気づく。…‥今日の、丸メガネ先生と同じ、あの目をして。

「新しい学校は楽しいか」
「ああ。まあ。フツー。野郎ばっかりだけどな」
「それは俺もだよ…」

村上の担当課は事務以外ほぼ男性らしく、俺と同じような環境のようだ。

「お母さんが許す範囲なら、いつまでもいていいぞ」

「センセー、女いないんだな」と突っ込むと、明らかに機嫌を損ねてしまった。なんて大人げない大人なんだ。

「いねぇよ。…ま、お前は大事にしろ。誰かに取られないようにな」
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