この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
17歳の寄り道
第24章 【遥編】3日間
お前が取ろうとしたんだろ、と言いかけたが、言葉を飲み込む。
もう…村上はけじめをつけているのに、蒸し返すのは何か違う気がした。

すると、客間のドアが開く音がして、碧の母親がリビングのドアの陰に見えた。

「……村上先生、ありがとうございました」
「あ、……話はつきましたか」

俺は一気に水を飲み干して、冷たいグラスを握ったまま、とぎれとぎれに聞こえてくる。碧の母親と村上の話を聞いていた。

今、碧の親父は家に戻っているそうだった。

「この子たちの祖父母が生きていたらよかったのですけど、すでに他界してしまっていて……頼れる親族がいないので…本当に図々しくて、申し訳ありません」

碧とクソ親父と会わせたくないのと、今後の話をつけるために、一晩碧をこの家で預かるという話だった。

村上は、終始静かに母親を宥めていた。

昨日起きた事は、碧の母親のせいではないかもしれないけど……俺ならきっと、村上のように穏やかに対応できないだろう。
どんな事情があっても、碧の事ちゃんと見とけよ、って、思うしな……

村上だって、元担任っつったって男なのに、しかも前科ありなのに、簡単に信用して預けるあたり、なんか甘くね?
…まあ、今はあの危ない親父とひとつ屋根の下に置く方が余程危険か。

ここに預けるのがベストではないという事は、誰もが分かっているのだ。
親父がしでかした事は一応未遂だし、碧も母親も警察沙汰にしないつもりだそうだから、この後話がこじれないことを祈るばかりだ。


碧の母親は凛太を抱き上げて、俺たちに礼をした。
ここまでは車で来ていたので、出発するまで見送る。

「じゃあ、碧。先生にご迷惑かけないようにしなさいね」
「うん…。待ってるね……お母さん…」

母親は瞳を潤ませて頷いていて、抱かれている凛太が俺を見ていた。

「はるくん」と俺に手を伸ばす。俺はその赤くなっている手を取って、むにむにと握りながら、ある事を思い出した。

「あ。ちょっと待って」

俺は急いでキッチンに戻り、村上の家の冷蔵庫を勝手に開け、プリンを取り出して戻った。

「これ、凛太君にあげて下さい。喉痛がってたし、食べやすいかも」
「……ありがとう、浅野君。凛太を病院に連れてってくれたんですってね。本当にありがとう」

碧を少し細くしたような母親は、目を潤ませたまま、にっこりと微笑んでくれた。
/452ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ