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17歳の寄り道
第24章 【遥編】3日間
二人が、帰って行った。
碧は庭の塀に手をついたまま、車が消えるまでずっと立っている。

「碧ー。腹減ってねえ?」

その後ろ姿に、努めてフツーに話しかけた。

「……減った…かな。よくわかんない……」

少し悲しげに笑う碧に、「出前取るか」と村上が提案する。

「出前もいいけどー、しょうがねえなー。俺が作るよ。何食いたい?」
と言うと、碧と村上が目を見開いた。

「遥、料理できるの!?すごい!」
「や、まあ…ちょっとは作れるよ。家に食いもんなかったら、作るしかないし…」
「やるなあ、浅野!」

何となくだが…碧は料理がダメそうだな。村上はあまり自炊しない派のようで、またしても尊敬の眼差しを浴びた。しかも二人分。

家事は嫌いじゃない。
晩飯もよく、結愛と一緒に作って食った。

あいつの親も夜勤のある仕事をしていて、夜は一緒にいることも多かった。
年頃になり、親から、二人きりで会うことを禁じられたが。


「遥、私、ハンバーグ食べたい。作れる?」

碧は目をキラキラさせている。簡単なメニューで助かった。

「いいよ。任せろ」

村上の車で食材を買い出しに行くことになった。
碧は家で留守番すると言うが、一人になって大丈夫か?と思いながらも、野郎二人で出発した。

気ィ重いな……
とりあえず仕事中の母さんの携帯を鳴らしてみたが、出る気配はない。
……メールするか。

『今、村上先生の家にいる。あさって帰るから、心配しないで』
と送信して、下拵えに取りかかった。

朝よりは空いている国道。
つるさきクリニックを過ぎ、整形外科も過ぎ、スーパーまで走り抜けていく。

「……センセーは、すげーな。俺だったら、碧の母親にあんな風に優しくできねえよ」

助手席での俺の呟きに、村上がふっと笑い、「そうでもないよ。まあ、みんないろいろあるよ」と言う。

そうでもない?
もしや、村上キレたのか…?
それ以上の詳細は教えてくれずにスーパーに着いた。

カゴを取り、玉ねぎを入れていたら、そのカゴを村上が持ち上げた。

「何?」
「俺が持つよ」
「……」

何だこのやりとり。カップルじゃねえんだよ。
合挽き肉をカゴに放り込み、献立を頭に浮かべながら一周回りレジに着く。みそ汁と、付け合わせと…。
米は今、碧が炊いている。

買い終えて、車まで戻る道すがら、村上が話し出した。
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