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17歳の寄り道
第24章 【遥編】3日間
「浅野はしっかりしてるなぁ。そりゃあ凛太君にも懐かれるわけだ」
「センセー、凛太にめっちゃ泣かれてたね」
「ああ……落ち込んだよ」

本気で悲しげな村上に、多少同情しながら車に乗り込み、家に戻った。

「おかえり~!先生の家の炊飯器、高性能だね!」
と出迎えてくれた碧に、俺も村上もほっとしたと同時に心が和まされる。
その後すぐ、村上が俺に手招きした。

「家に連絡したか」

忘れてた…いや、忘れたふりをしていたが、村上は忘れてはいなかった。家への連絡。

「……今からするよ」

ここに住んでいる頃なら一晩俺がいなくったって誰にも気付かれなかったが、今の家はばあちゃんがいるからそういうわけにはいかない。怒らせたら、なぎなたで刺されかねない。


「……うまい。浅野、やるな」
「本当本当!うちのお母さんより上手だよ!」

外も暗くなり始めた頃、3人で食卓を囲み、ハンバーグの褒め殺しに遭った。

「……もう、いいよ…」

拒否ると、「照れんな照れんな」と、ますます辱めに遭わされる。
碧はずっと笑顔で、楽しそうにしていた。

食後の片づけは碧がすると言ったが、捻挫のこともあるしと村上が買って出た。
碧と二人でソファに座っていたら、母さんから電話が掛かってきた。


『村上先生の家って……どうして!?』

ヒス気味の母親の声が、受話口から聞こえた。凛太の泣き声の音量に比べたら、大したことはない。

「友達に会いに来たの。あさって帰るから…」

『突然びっくりするでしょう!村上先生のご迷惑になるから、帰ってきなさい!』

ほら出た。こうなるから話したくなかったのに……
でも、また、昔のように塞ぎこんで、パニックになる母さんを見たくはない。
そう言われたら、帰るしかねぇじゃん。と思っていると――。

「貸せ」

突然スマホが後ろから取り上げられた。
村上が気だるそうに壁にもたれかかって、母さんと話し始めた。

「突然代わりまして、すみません。ご無沙汰しています。村上です。…はい。……はい。ええ、うちは全然大丈夫ですよ」

村上は、新幹線で帰るとなると、今の時間ではギリギリなので泊めますと話し、なんと母さんも承諾した。

「はい、解決。ま、明日帰らないといけないけどな。一泊でもできたらマシだろ」

クソ。癪に障る。

…でも、

「ありがと、センセー」

礼だけは言ってやる。
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