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17歳の寄り道
第24章 【遥編】3日間
「今日……満月だな」

ちょうど、窓から見えた月。
碧からは見えなかったらしく、俺の胸にちょこんと頬を乗せる。

「ほんとだねぇ」

のんびりとした穏やかそうな声。セックスで気持ちが落ち着いたのか。

「村上に聞かれてねぇかな…ヤッてる声」
「……わかんない…」

あいつも寝不足のはずだから、今ごろ夢の中だといいんだけど。
これがバレたらぶん殴ってきそうだ。体育の藤田みたいに。

俺たちはさらに声を落として、囁き声で話した。

「村上先生が、プリンと満月見たら私のこと思い出すんだって」
「はぁ?」

何だそれ。ポエムで口説いてんのか?ロリコンが。

「顔が丸いって意味だよね…」と膨れる碧。

いやいやそれは…

「好きだって意味じゃねーの」と言うと、このクソ暑いのに、部屋の空気が凍りつきそうなほどシーンと静まり返った。


……何だよ。
なんか、村上に言われたのか?


「せっかく一緒にいるのに…二人の話しようぜ。しかも楽しいやつ。」

悔しさ半分で沈黙を破ると、碧は小さく頷いた。



指を絡めながら手を繋ぎ、いろんな話をした。
二人とも寝てないのに、凛太の人見知りの話とか、ばあちゃんに胸ぐら掴まれた話とか、笑える話をたくさんした。

今は、昨日を思い出してしまうような話や、暗い話は不向きだろう。

碧のことは全部知っているような気でいたが、まだ俺が知らない事ももちろんたくさんあって、聞けば聞くほど、笑いながらも愛しさが溢れる。

真夜中になっても、裸で抱き合い、話し続けていた。



喉が渇き、飲み物を取りに行こうとした時。
碧が、迷いながら口を開いた。

「遥……ひとつ聞いていい?」

さっきまでの楽しげな雰囲気が、少し翳りを見せた。
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