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17歳の寄り道
第25章 【遥編】ノスタルジー
――認めた。

「ふぅん。やっぱりロリコンなんだな」

「何とでも言え」

俺の悪態にも村上は口の端だけ上げてやり過ごす。
碧のこと、“好きだった”と認めた。

「俺がいなくても手ー出すなよ」

「お前が泣かさなかったらな」

「じゃあ泣いたら手出すのか?」

「嘘だよ。もう会う事はないと思うよ」

後は煙に巻くようなことばかりで話にならなかったが、村上と会う事はないというのは、暗に俺にも言っているような気がした。


「さ、着いたぞ」

車が止まったのは小汚いラーメン屋。
男二人、麺をすすり、「旨いなぁ」と唸る。

それが、村上と取った最後の食事だ。


ラーメン屋を出て、車は俺の実家近くに着いた。

「じゃあな。気をつけて帰るんだよ」

「いろいろありがと、センセー」

「元気でな。体には気をつけて。……頑張れよ」

「センセーもな」

村上は口角を上げて頷き、窓が閉まってゆく。
俺は去っていく車を見送り、実家の方へ歩き出した。


3ヶ月しか経っていないが、もう懐かしさを感じる。
電柱の傾き具合、隣の家の鼠色の塀、ここから見下ろす坂の風景。
小さな四つ角の一角には、蜜柑の木が生えていた。今は成っていないけど…ひたすらに懐かしい。

「あっちーな…散歩どころじゃねえよ」

照りつけるアスファルトに茹だりながら、家の前まで来た。


こんな殺風景な家だったか?
父さんはここに住んでいるのか?

鍵っ子の俺は、ほとんど押したことのないチャイムを押したが、誰も出てこない。
マジで新しい女いたら気まずいな。

もう一度押したが、やはり出てこない。


……やっぱり帰るか。
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