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17歳の寄り道
第26章 【碧編】夢か幻か
遥には、疑われても仕方のないことをしてきた。
その報いだとすると、疑いを掛けられても、ずっと耐えて行かないといけないことなのかもしれない。
遥にはもっとつらい思いをさせたのだから。


しかし、今この状況で。
この先に不安を抱きながら張りつめているこの状況で、疑いを掛けられるのは……耐えられない。


「…いやぁっ」

両手で遥を拒んで遠ざけ、ベッドから下りようとして、立てなくてドサリと落ちた。


「いっ……」

声にならないほど痛く、涙が出る。
背を向けている私に、遥もベッドから降りてきた。

「おい、碧……」
「添い寝はお願いしたよ……でも、何もしてない!」

感情をむき出しにする私に、遥は驚いていた。

遥だって、極限まで心配してくれていたのに。
私が、結愛ちゃんと遥の仲を疑うのと同じように、遥は、私と先生の仲を……



その後、すぐに出発の時間になった。
私も遥もよそよそしく車に乗り、私は助手席、遥と凛太は後部座席に乗った。

「はるくん、いつあそびにくる?」

凛太が遥に尋ねていたが、遥は答えを濁したまま、車は新幹線駅に着いた。


「駅まで送るよ。碧は?」
母がドアを開けながら私に聞いた。

「歩けないからここにいる」

そっけない声でしか返事ができなくて、遥の顔が見られなかった。


「はるくん、またあそべる?」
「またいつでもおいでよ。遥君さえよかったらね」

車を降りながら母と凛太は、遥に温かく声を掛け、新幹線のホームまで歩き出す。
私は足の怪我を理由にして、見送りにも行かずに、車の中から遥の背の高い後ろ姿を見送った。


怒る事でもなかったのかもしれない。
きっと遥も不安だったのだ。

ただ、その事に気付くには、時間が必要だった。
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