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17歳の寄り道
第2章 【碧編】恋
その時、部室にいたのは、高田部長と、浅野君と、1年の生徒が3人。この日は全員男子だったけど、いつもは1年生の女の子2人組と副部長もいるそうだ。

「幽霊部員もたくさんいるんだけど、普段ここに来るのは10人もいないんだ。でも、みんないい奴だから。これからよろしくね」

部長のスマイルに、心が温かくなる。
私も笑顔で「よろしくお願いします」と返事したら、浅野君がヘッドホンを外し、私を見る。

ひらひらと手を振ると、浅野君が立ちあがった。


「何で入部してんだよ」

「村上先生に誘われたんだもん」

「チッ…」

舌打ちー?


「それより、アレ!返してもらってないの。私も浅野君に返さなきゃ、着替え」

自転車通学は禁止されているので、自転車の鍵という名称を伏せたのだが、怪しい会話内容だと思われたのか、部長たちの頭にハテナマークが見えた。


浅野君がもう一度舌打ちをして、私の腕をつかんで部室を出る。
廊下に出てもまだ進んでゆく。


「痛い、浅野君」
と言うと、手が離れて振り返った。


「…東野に送ってもらえばいいんじゃね」

「え?部活してるよ」

「俺も部活中。」

「音楽聞いて漫画読んでただけじゃん」

浅野君は舌打ちをして、私をにらむ。


「そんなに俺と帰りたい?」


癪に障る聞かれ方だけど、答えは…帰りたいしかない。
ムッとしながらも、こくんと頷いた。


浅野君は、仕方なさそうに言った。


「……じゃ、送るよ」


風に吹かれる薄茶色の髪が、サラサラしてきれい。
切れ長の二重の目で、瞳の色も少し薄くて、全体的に色素の薄いイメージがある。

なんで、そんなに不機嫌なのかわからなかったけど、その理由は後ほど判明した。
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