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17歳の寄り道
第2章 【碧編】恋
下校時刻になり、帰り始める。
今日はお母さんに入部届書いてもらわなきゃ、忘れちゃいけない。

公園の方面へ帰るのは私と浅野君しかいなくて、他の人たちは大体電車通学だ。

部長たちと校門前で別れて、浅野君と共に歩道を歩いた。
運動部の子たちはまだ活動していて、フェンス越しにサッカー部が見えた。
浅野君と歩きながら、東野君を見つけようとしたら、三浦君と目があった。

「碧ちゃん、バイバーイ!」

大きな声で名前を呼ばれて、東野君らしき人物がこっちを向いた。

「バイバーイ!」

私も、二人に手を振ってたら、浅野君は速度を上げた。

「あっ、待ってよ、浅野君」

小走りで追いかけても追いつけない。
もう、なにー!

暗くなり、鬱蒼とした植え込みを見たら、胸がドクンと打ち、冷や汗が出てきた。

「…ま、待って、浅野君」

気持ち悪い。
昨日のことが鮮明に思い出されて体が震えだす。

私の様子に、怒っていた浅野君もさすがに立ち止まった。

「大丈夫かよ?怖い?」

コクコク頷いたら、浅野君は少し周りを見回して、私の手を取った。

「大丈夫だよ。一人で待つ方があぶねーから」

浅野君の手は熱くて、ドキドキして、安心する…

植え込みの中に、一台だけとまっている白い自転車。
浅野君が鍵を出し、解錠に手こずっていた。

「錆びてるよな、これ」
「そうなの」

浅野君は、私の手を握りながら、解錠を試みていた。
カシャンとロックが外れても、手は繋いだままで…

昨日、ここでおもらしまでして…

胸を押さえて、浅く息をしていたら、浅野君は心配そうに私を見る。
繋いでた手を離そうとしたから、いや、と首を振った。
私に触れていて欲しい。

「手つないでて…おねがい」

それだけ伝えて短く息をしていたら、浅野君は鞄を前かごに放り込み、もう一つの手で私の体を抱き寄せた。

「ゆっくり息吐いてみな。過呼吸になるぞ」
「か、過呼吸…?」

何だろう、聞いたことはあるけど症状は知らない。
次第に手が痺れてきて、息が苦しくなってきた。

こわい、こわい、苦しい、

浅野君の胸に縋り付いて泣きそうになっていたら、私の頬に浅野君の指が伝った。
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