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17歳の寄り道
第2章 【碧編】恋
思わず見上げたら、至近距離に顔があって、唇が目に入る。
吸い寄せられるように近づき、目を閉じたら、すぐに柔らかな彼の唇が私の口を塞いだ。

不安でいっぱいだったのに、晴れ間が広がるように熱いものがこみ上げてくる。

唇を当てているだけの長いキス。
繋いだ手が離れて、浅野君は両手で私を抱き、背中から腰まで撫でられた。

私も浅野君の背中に手を回して、ぎゅうっと抱きついた。浅野君の胸に押し付けている、私の胸が潰れてる。

唇が離れてもう一度重なった時、不安になるような息苦しさは消えていた。浅野君はそれを察したかのように、私の唇を軽くぺろっと舐めた。

びっくりして目を開けたら、浅野君が笑ってる。

「今舐めた?」
「うん」

浅野君はすっと体を外し、自転車のハンドルを握る。

「はー、ビンビンなんだけど」
「え?」
「さっさと帰って出したいから、早く乗って。送るから」
「う、うん…」

出したいって…ビンビンって…
そういうことだよね?

浅野君の後ろに跨り、腰に捕まると、自転車は進み始めた。
ぎゅう…と浅野君を抱きしめたら、漕ぎにくそうにしていたのですぐに離れた。

まだ、浅野君といたい。
どうすれば一緒にいてくれるのかな…
浅野君は、もっとキスしたいと思わない?

「俺、今日は送ったあと歩いて帰るから。ずっと自転車借りるわけにもいかねーし」
「え、じゃあ、このまま浅野君ちに行ってよ。私、そこからひとりで帰るから」
「ひとりでは帰らせられねぇよ、さっきパニックなってたじゃん」

パニック?

「俺の母親が、昔よく過呼吸起こしててさ、今は治って、仕事してるけど」
「そうなんだ…」
「さっきの、めっちゃ似てた」

浅野君のシャツの裾をきゅっと握る。
もう、空は暗い。

「まだ…一緒にいたいよ」
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