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17歳の寄り道
第28章 【千晴編】誰にも言えない
いつの間に、こんなに好きになっちゃったんだろう。
藤田先生の視界に入り続けたくて、あんな関係になってまで、私は何を繋ぎとめたかったんだろう。

体を捧げたって、先生は私に笑いかけたりしないのに。
どんどん欲張りになってしまって、「もっともっと」って、止まらなくなって……。
先生の気持ちもお構いなしで、突っ走って。

先生の目には、私はどう映っていたんだろう。
藤田さんによく似てるとすれば、きっと優しい奥さんなんだろう。

先生と奥さんは、ピアノのコンサートに行くのだろうか。


考えたくもないことを延々考えて、自らに現実を突きつけた。
火曜日は、笑ってさよならを言おう。

「今までありがとうございましたー!」って、深刻にならないように……。
それで先生はきっと肩の荷を下ろせるはず。


そして、藤田さんとも、先生とも、もう連絡を取らない。
私の初恋は最初から終わっていたんだ。

それも、最初から決まっていたことなのだ。



そして――月曜日の朝。

……え?
私は目を疑う。


バスに乗り込んだら、藤田先生が乗っていた。

な、なんで今日に限って……!
もう、諦めようと思ってたのに……!

私が乗ってきたことに気付いた先生は、座席に置いていた鞄を膝に置き、一つ席が空いた。
座ってもいいってことかな…。
いや、でも、もう終わんなきゃいけないんだから、座ったらダメだ。
先生に背中を向けて吊革につかまろうとすると、先生に背中をトンと叩かれた。

「おい。座らないのか」

振り返ると、相変わらずの不機嫌な顔で、空いた席を指す。

「す…………座り、ます……」


何て意志の弱い私……。

や、でも、バスで隣に座るだけだから。
明日の放課後は普通に委員の仕事して、先生を、解放してあげるんだ。

自分に言い訳しながら、藤田先生の隣に座った。
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