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17歳の寄り道
第2章 【碧編】恋
私の呟きが聞こえているのかいないのか、浅野君は返事をしない。
昨日は自転車を押しながら歩いた道を、二人乗りで走る。

「なんで俺に言うんだよ。東野は?」
「東野君とは何もないよ」
「信じられるかよ」

語気を強めて、苛立ちを隠さない浅野君。
もしかして、妬いてる…?と思うと、きゅううっと胸が締めつけられた。

どうすれば一緒にいてくれる?
朝、言ってたお願いを聞けばいい?

きゅっと結んでいた唇を開き、思い切って伝えた。

「浅野君になら、胸さわられてもいいよ」
「…は?」

浅野君は急ブレーキを掛ける。ぐらっとしたので後ろからしっかり抱きついた。
心臓はもうオーバーヒートしそうで、浅野君の次の言葉を待つ。

「……冗談?」

彼の疑いまじりの言葉に、抱きついたまま首を振って否定した。

「…じゃあ、家来る?」

答えは…決まっている。
淡い恋心と好奇心と、縋りつきたいような衝動で胸が高鳴る。

「うん…行く」

「マジかよ…」

浅野君は、困惑していたようだが、昨日と同じように家に上げてくれた。


誰もいないおうち…

聞けば、浅野君のご両親は医療従事者で、遅い時は遅いとの事。
お父さんは近くの有名な病院の勤務医で、お母さんはナースだった。

お医者さんの息子だったとは。全くイメージできない。
おうちも華美ではないし、どちらかと言えば慎ましい。

「代々開業医って家系でもないから、別に金持ちでもねぇよ」
と、冷蔵庫からペットボトルを出しながら浅野君が答える。
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