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17歳の寄り道
第29章 【千晴編】私のこと、好きですか?
「須賀、おはよう!熱は下がったか?無理は禁物だぞ〜」
担任で新任の堤君(親しみを込めて君付け)が、一時間目前に私を呼び止めた。

「さっそくで悪いんだがな、放課後、体育教官室に行ってくれるか。レポート提出についての話があるそうだから。他のマラソン不参加者は昨日まとめて呼び出されてたんだが……申し訳ないんだが一人で行ってくれ」

堤君が藤田先生を恐れていることが、言葉の端々からひしひしと伝わる。

「先生、大丈夫ですよ私……体育委員だし。先生ほど藤田先生怖いと思ってないから」
「そうかそうか!じゃあよろしくな!」

レポートめんどくさいなぁ。
もう一度走らせてくれたらいいのに。

「千晴、大丈夫?」

席に戻る途中、前の方に座っている碧が私に手を振り、「復活ーっ」と笑った。

「あ、千晴。来てたの」

私の斜め前の席の涼太もそう言いながら振り向いた。どうせ碧を見つめてて、碧が私と絡んだから気付いただけだろうけど。

「来て悪かったみたいに言わないでよ」
「や、ちょっと頼まれてて。これ三浦から」
「え、何?」
「知らね」

涼太は四つ折りの小さな紙を私の机に乗せると、前を向いてしまった。
よく人に頼まれる奴だなと思いながら紙を開けたら、『部活後、体育館裏で待っています』と書かれていた。

……何?

三浦君と言えば、サッカー部の子だ。クラスも科も違うが、涼太と仲がいいのは知っている。涼太と同じような普通の好青年。
碧には話しかけてるところをみたことあるけど、私とは話したこともない。それに、体育館裏っていい思い出ない…。
さすがに三浦君は、ヘンなことはしないだろうけど、少し気が重いと思ったのは否定しない。
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