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17歳の寄り道
第29章 【千晴編】私のこと、好きですか?
涼太たちは逃げて散り散りになったようで、見渡してもいなかった。
もし尾行みたいな悪趣味なことしてたら、碧への恋路を徹底的に邪魔してやる。

「ごめんね……。須賀さん、電車だよね。俺も電車なんだ。……つきあえないのはわかったけどさ、今日だけ一緒に帰らない?」

三浦君は本当に申し訳なさそうにしていたので、この流れで一緒に帰ることになった。

「須賀さんは彼氏いるんだよね。なのに、告白してごめん」
「彼氏?今はいないよ?」

腐れ縁だった元彼とは夏には終わっていたし、それからはずっと藤田先生に片思いで……。
三浦君は、まだ言い足りないそぶりを見せる。

「…この前さ、見たんだ。男の人の車に乗ってるところ」
「えっ?」
「土日だったけど……俺は部活の帰りで」
「ああ、あれは彼氏じゃないよ。碧のバイト先の人で、一回だけ会っただけで……」
「あ、そうなんだ。……じゃあ……まだ、俺にもチャンスあるかな?」

三浦君は、人の目をまっすぐ見て話す人だ。
瞳の奥を覗きこまれると、藤田先生との関係までもがバレてしまうような焦りを覚える。

「チャンスって……」
「デート誘っても来てくんないでしょ? だから、帰れる時は一緒に帰らない?」
「……うん。デートは行かないね」
「正直だなー」

この学園に入学してから、告白なんて何度もされた。振った後、文句を言われたこともあった。三浦君は、そういうのもなさそうで、さすが好青年なだけある。

……でも。
はっきり言うことが、正しいとは限らないんだけど…
本当は気が乗らないのに、優しさにほだされるのは違う気がするから。

「私、三浦君のこと好きにはなれないと思う……。でも、ありがとう。嬉しかった」

包み隠さず、本心を伝えた。
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