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17歳の寄り道
第30章 【結愛編】結愛の春休み
もしかして、遥のおばあちゃん?
「遥君はどこにいますか?」
「……礼儀がなってないね。人にものを聞くときは、まず自分を名乗るんだよ」
ぴしゃりと言い返され、私はムッとしながらも自己紹介をした。
「……浅野結愛です。遥のいとこです」
「なんだ。彼女じゃないんだね。遥はここにはいないよ。今はアルバイト」
遥の彼女は……今は続いているのか知らないけれど、フワッとした優等生みたいな真面目そうな子。何度か見たことはあるだけだが、いい子ぶってそうで好きになれそうになかった。
……というのはウソ。
遥を取られたようで、寂しかった。
「アルバイトって、どこでしてるんですか?」
「タダで言うわけないじゃないか」
「お金ですか?いくらお支払いすれば……」
せっかくここまで来たのに、おめおめと帰れはしない。私がしつこく食い下がると、おばあさんは「体で払ってもらうかね」とニヤリと笑う。
「綺麗な娘さんだねぇ!遥君のいとこなんだって?二人並べば美男美女だねー!」
廣瀬呉服店の2階にある、双葉フォトスタジオ。
広いスタジオに、高級感のある純白の内装、顔が映りそうなほど磨かれた床のタイル。
そこのオーナーだという恰幅のいい男性が、年季の入った黒いカメラを覗く。その隣には、若い男性アシスタントカメラマンと、メイクをしてくれたお姉さんがいた。
着物…苦しい。
いいものらしいけど、なんかよくわかんない。
ライトを当てられ、フラッシュを焚かれ、パシャパシャと撮られた。
「結愛!もっと胸張りなさい!」
遥のおばあちゃん――春乃さんは、厳しい口調で発破をかけてくる。
呼び捨てって…と思ったが、乗りかかった船だ。もう降りられない。私は、遥の居所を教えてもらう代わりに、呉服店のモデル写真を撮るという条件をのんだのだった。
「遥君はどこにいますか?」
「……礼儀がなってないね。人にものを聞くときは、まず自分を名乗るんだよ」
ぴしゃりと言い返され、私はムッとしながらも自己紹介をした。
「……浅野結愛です。遥のいとこです」
「なんだ。彼女じゃないんだね。遥はここにはいないよ。今はアルバイト」
遥の彼女は……今は続いているのか知らないけれど、フワッとした優等生みたいな真面目そうな子。何度か見たことはあるだけだが、いい子ぶってそうで好きになれそうになかった。
……というのはウソ。
遥を取られたようで、寂しかった。
「アルバイトって、どこでしてるんですか?」
「タダで言うわけないじゃないか」
「お金ですか?いくらお支払いすれば……」
せっかくここまで来たのに、おめおめと帰れはしない。私がしつこく食い下がると、おばあさんは「体で払ってもらうかね」とニヤリと笑う。
「綺麗な娘さんだねぇ!遥君のいとこなんだって?二人並べば美男美女だねー!」
廣瀬呉服店の2階にある、双葉フォトスタジオ。
広いスタジオに、高級感のある純白の内装、顔が映りそうなほど磨かれた床のタイル。
そこのオーナーだという恰幅のいい男性が、年季の入った黒いカメラを覗く。その隣には、若い男性アシスタントカメラマンと、メイクをしてくれたお姉さんがいた。
着物…苦しい。
いいものらしいけど、なんかよくわかんない。
ライトを当てられ、フラッシュを焚かれ、パシャパシャと撮られた。
「結愛!もっと胸張りなさい!」
遥のおばあちゃん――春乃さんは、厳しい口調で発破をかけてくる。
呼び捨てって…と思ったが、乗りかかった船だ。もう降りられない。私は、遥の居所を教えてもらう代わりに、呉服店のモデル写真を撮るという条件をのんだのだった。