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17歳の寄り道
第30章 【結愛編】結愛の春休み
写真……使ってほしい……な。
でも、遥の家に来ているなんて、今親に知れたら……やっぱり家に連絡はできない。
「すごく、きれいです。……すごくきれいにしてもらったのに、ごめんなさい……」
謝りながら涙が出てしまった。
こんなに、人の温かい感情に包まれたことなんて、最近なかったし……。
顔を隠すように伏せて、指先で涙を拭う。
するとオーナーが立ち上がった。
「ああ、僕たちはいいんだよ。撮影代も春乃さんから頂いてるし、泣かないで、結愛ちゃん」
「まあ、若い子には優しいね、男どもは」
アシスタントさんがティッシュをくれて、お姉さんはあったかい紅茶を淹れてくれた。カウンターのハイチェアに掛けながら、ティーカップの中にそっと角砂糖を落とし、スプーンで混ぜる。
春乃さんも、やれやれと溜息をつきながら紅茶に口をつけた。
そして「この紅茶を戴いたら、うちに来なさい」と私に言った。
遥の母親の実家は、蔵のある由緒正しいお家だった。
格式高いその佇まいに、忍者が出てきそうだ…と思いながら、春乃さんが開けてくれた玄関の戸をくぐる。
「遥!お客だよ!」
突然、玄関で大きな声を出した春乃さん。すると、奥の方から足音が聞こえてきた。
「ばあちゃん帰ってくんの早くね?客って誰?………えっ、結愛!?」
遥が目を丸くしている。
茶髪じゃなくなってるし、何だか好青年になっている。でもビー玉みたいな瞳は変わらない。
春乃さんの後ろで、えへへと笑いながら手をあげたら、遥は呆れながらも笑っていた。
「こんなとこまでよく来れたな、寮から来たのか?おじさんとかおばさんは……」
「ご両親はここに来たことを知らないそうだよ」
春乃さんの言葉に遥は眉をひそめた。
「何でばあちゃんが知ってるんだ?つうか、寮って門限ねえの?」
「あるよ。17時までに帰れたら…」
「え?間に合うのか?もう4時過ぎてっけど」
でも、遥の家に来ているなんて、今親に知れたら……やっぱり家に連絡はできない。
「すごく、きれいです。……すごくきれいにしてもらったのに、ごめんなさい……」
謝りながら涙が出てしまった。
こんなに、人の温かい感情に包まれたことなんて、最近なかったし……。
顔を隠すように伏せて、指先で涙を拭う。
するとオーナーが立ち上がった。
「ああ、僕たちはいいんだよ。撮影代も春乃さんから頂いてるし、泣かないで、結愛ちゃん」
「まあ、若い子には優しいね、男どもは」
アシスタントさんがティッシュをくれて、お姉さんはあったかい紅茶を淹れてくれた。カウンターのハイチェアに掛けながら、ティーカップの中にそっと角砂糖を落とし、スプーンで混ぜる。
春乃さんも、やれやれと溜息をつきながら紅茶に口をつけた。
そして「この紅茶を戴いたら、うちに来なさい」と私に言った。
遥の母親の実家は、蔵のある由緒正しいお家だった。
格式高いその佇まいに、忍者が出てきそうだ…と思いながら、春乃さんが開けてくれた玄関の戸をくぐる。
「遥!お客だよ!」
突然、玄関で大きな声を出した春乃さん。すると、奥の方から足音が聞こえてきた。
「ばあちゃん帰ってくんの早くね?客って誰?………えっ、結愛!?」
遥が目を丸くしている。
茶髪じゃなくなってるし、何だか好青年になっている。でもビー玉みたいな瞳は変わらない。
春乃さんの後ろで、えへへと笑いながら手をあげたら、遥は呆れながらも笑っていた。
「こんなとこまでよく来れたな、寮から来たのか?おじさんとかおばさんは……」
「ご両親はここに来たことを知らないそうだよ」
春乃さんの言葉に遥は眉をひそめた。
「何でばあちゃんが知ってるんだ?つうか、寮って門限ねえの?」
「あるよ。17時までに帰れたら…」
「え?間に合うのか?もう4時過ぎてっけど」