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17歳の寄り道
第31章 【碧編】碧の春休み
「事情も何も知らないのに、結愛ちゃんに口出しされたくない」
「事情を知らなくたって、遥に酷いことしてんのは変わんないでしょ。手当たり次第に男たぶらかして」
私は、確かに遥を傷つけた。
疎ましい義父から助け出してほしい一心で、先生に縋り手を取った。
その事が、「男をたぶらかした」ということなのか。
何も知らない人間には、そんな簡単で言葉で済まされるのか。
遥に対する裏切りは消えないけれど、遥と離れてしまった理由はひとつではない。
いろんな要素が混じりに混じって、こうなったと思っている。
……遥も、結愛ちゃんのこと、どこかで忘れていなかったもの。
「あんた、ロリコン先生とエッチしたんでしょ。最悪だよね」
結愛ちゃんは嘲笑しながらコーラのストローに可愛らしい唇をつけて、遥によく似たビー玉のような瞳を私に向けた。
私のことは何と言われてもいい。縋りついたのは事実だ。
でも、先生のことを……あんなに私たちを守ってくれようとした先生のことを、低俗な言葉で蔑むのは誰であろうと絶対に許せない。
「結愛ちゃん、間違ってる。私に意見しに来たんでしょ?先生のことまで悪く言わないで。遥が先生のこと悪く言ってたの?言ってないでしょ?」
遥が村上先生のことを、もし悪態をついていたとしても、心の中では絶対に先生を嫌いなはずはない。
「悪いけど、結愛ちゃんがそういう姿勢なら、何も話すことはないよ。それに、遥には合わせる顔ないから、連絡もできない」
私は、最後まで飲みきっていないコーヒーをトレイに乗せて立ち上がろうとすると、手首を掴まれた。
白く細い可憐な手には力が籠り、薄茶色の瞳が私をするどく睨む。
「逃げんの?」
「……お母さんと弟が待ってるから。心配掛けたくないの」
こんな細い手のどこに力があるんだろう、というぐらい、腕をギリリと掴まれてから解放された。
「事情を知らなくたって、遥に酷いことしてんのは変わんないでしょ。手当たり次第に男たぶらかして」
私は、確かに遥を傷つけた。
疎ましい義父から助け出してほしい一心で、先生に縋り手を取った。
その事が、「男をたぶらかした」ということなのか。
何も知らない人間には、そんな簡単で言葉で済まされるのか。
遥に対する裏切りは消えないけれど、遥と離れてしまった理由はひとつではない。
いろんな要素が混じりに混じって、こうなったと思っている。
……遥も、結愛ちゃんのこと、どこかで忘れていなかったもの。
「あんた、ロリコン先生とエッチしたんでしょ。最悪だよね」
結愛ちゃんは嘲笑しながらコーラのストローに可愛らしい唇をつけて、遥によく似たビー玉のような瞳を私に向けた。
私のことは何と言われてもいい。縋りついたのは事実だ。
でも、先生のことを……あんなに私たちを守ってくれようとした先生のことを、低俗な言葉で蔑むのは誰であろうと絶対に許せない。
「結愛ちゃん、間違ってる。私に意見しに来たんでしょ?先生のことまで悪く言わないで。遥が先生のこと悪く言ってたの?言ってないでしょ?」
遥が村上先生のことを、もし悪態をついていたとしても、心の中では絶対に先生を嫌いなはずはない。
「悪いけど、結愛ちゃんがそういう姿勢なら、何も話すことはないよ。それに、遥には合わせる顔ないから、連絡もできない」
私は、最後まで飲みきっていないコーヒーをトレイに乗せて立ち上がろうとすると、手首を掴まれた。
白く細い可憐な手には力が籠り、薄茶色の瞳が私をするどく睨む。
「逃げんの?」
「……お母さんと弟が待ってるから。心配掛けたくないの」
こんな細い手のどこに力があるんだろう、というぐらい、腕をギリリと掴まれてから解放された。