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17歳の寄り道
第31章 【碧編】碧の春休み
「……確かに疲れた時もあるけど、今はもう大丈夫。やってみたい事みつけたし」
「へー、偽善なのは認めるんだ。やってみたい事って何よ」
夜空の下バス停のベンチに横並びで座る。心なしか、結愛ちゃんの瞳から怒りが消えているような気がする。
「将来なりたいものがあるの。だから、バイトしてお金貯めて、がんばりたいの。……結愛ちゃんが遥に会うのなら、伝えておいて。『あの時はごめんね』って」
そう言うと、結愛ちゃんはどんっと私の腕を押した。
可愛いのに、すぐ手が出るな。
「自分で言いなさいよっ。人を介して謝るなんて卑怯だよ」
……至極真っ当だ。
「ふふ。そうだね。結愛ちゃんが正しいよ。結愛ちゃんぐらい素直になりたいよ」
「何よ、きもちわるっ!」
バスが来た。
結愛ちゃんの家は遥の実家近くにあるから、別路線のバスになる。
これで解決したのかどうかもわからないが、結愛ちゃんはその場から手を振ることもないまま、バスのステップに乗る私をじっと見ている。
「じゃあね。ありがとう。結愛ちゃん」
振り返してくれないか……と思っていたら、口が小さく「ばいばい」と動いた。
ビー玉のような瞳は警戒しながらも、憎しみは消えていた。
遥を好きな気持ちは、今もまだ残ってる。
テラス席では、感情が高ぶってしまっていて冷静になれなかったけれど、今、遥の気持ちが変わっていないということが涙が出そうなほど嬉しくて、ほっとした。
でも、こんな自分じゃ、このままの自分じゃ……。
同じことを繰り返したくはないし、会いにいく勇気はやっぱりない。
もっと、何ものにも揺らがない自分にならないと、今のままではダメだと思ってる。
あんなに心配をかけた村上先生にも申し訳が立たない。
「へー、偽善なのは認めるんだ。やってみたい事って何よ」
夜空の下バス停のベンチに横並びで座る。心なしか、結愛ちゃんの瞳から怒りが消えているような気がする。
「将来なりたいものがあるの。だから、バイトしてお金貯めて、がんばりたいの。……結愛ちゃんが遥に会うのなら、伝えておいて。『あの時はごめんね』って」
そう言うと、結愛ちゃんはどんっと私の腕を押した。
可愛いのに、すぐ手が出るな。
「自分で言いなさいよっ。人を介して謝るなんて卑怯だよ」
……至極真っ当だ。
「ふふ。そうだね。結愛ちゃんが正しいよ。結愛ちゃんぐらい素直になりたいよ」
「何よ、きもちわるっ!」
バスが来た。
結愛ちゃんの家は遥の実家近くにあるから、別路線のバスになる。
これで解決したのかどうかもわからないが、結愛ちゃんはその場から手を振ることもないまま、バスのステップに乗る私をじっと見ている。
「じゃあね。ありがとう。結愛ちゃん」
振り返してくれないか……と思っていたら、口が小さく「ばいばい」と動いた。
ビー玉のような瞳は警戒しながらも、憎しみは消えていた。
遥を好きな気持ちは、今もまだ残ってる。
テラス席では、感情が高ぶってしまっていて冷静になれなかったけれど、今、遥の気持ちが変わっていないということが涙が出そうなほど嬉しくて、ほっとした。
でも、こんな自分じゃ、このままの自分じゃ……。
同じことを繰り返したくはないし、会いにいく勇気はやっぱりない。
もっと、何ものにも揺らがない自分にならないと、今のままではダメだと思ってる。
あんなに心配をかけた村上先生にも申し訳が立たない。