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17歳の寄り道
第33章 【東野編】高校卒業、東野涼太
「……何だよ」

俺ではなく、カップ麺を見ている?

「涼ちんの、うまそう」

俺のカップ麺はバターしょうゆ味。浅野のは、絶品とんこつ味。
「どっちでもいい」と言うから絶品を譲ってやったのに、何て我儘な……。

「……やるよ」
「サンキュー。涼ちんも食ってみ」

そんなに仲よくもねえ男と、カップ麺の半分こはちょっと嫌だが、絶品とんこつはやっぱり旨かった。
と言っても、どちらのカップ麺もうちの母のチョイスだが。

「……旨いな」と思わず漏らした俺に、浅野はひひっと笑う。

「次涼ちんち来る時はこれ持ってくるわ」
「いや、来なくていいから」

そんな調子で、浅野はちょくちょく俺の家に来た。


「かっこいいねえ、あの子。涼太の友達」
「友達じゃねえし……」

浅野について、俺の姉がキャーキャー言っている。
見てくれだけはいいかもしれないが、あいつは今も俺の敵だ。

……白川が浅野と別れていたのなら。
俺も――悔いのないように、伝えればよかった。


白川と会ったのは、卒業式の日が最後で。
卒業式のあと、遊ぶ場所の少ない地域で集まるとなるとカラオケぐらいしかない。
夜遅くまで、クラスみんなでカラオケで騒ごうとなったのだが、その日もバイトだった白川は、早めに抜けて。
目が合って、「東野君、またね」と俺に手を振ってくれたのが……最後。

浅野のせいで、モヤモヤしてきたじゃねえか。


白川は、高校の近くにある短大に進学した。
特進クラスの中でその進路選択は珍しかった。

白川が、「早く社会に出て働きたい」と千晴に話していたのは聞いたけれど……。
ちなみに、千晴は地元の女子大に進んでいた。
高校の近くに住んでいた奴らは今でも会えるのかもしれないけれど、俺は自ら赴かないと会うのは難しい。
だから、白川に偶然会えたとしたら、それは奇跡に近いことなのだ。
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