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17歳の寄り道
第2章 【碧編】恋
昨日まで、浅野君に興味もなかった。
なのに、…今日はすごくドキドキする。

「浅野君は、昨日の方が優しかったね…」
俯いたら、髪がさらさらと下に落ちてゆき、沈黙が流れる。

もう時間だ。帰らなきゃいけない。
お母さんが心配する。
私は、片手で胸を隠しながらベッドの下に落ちている下着とセーラー服を取った。

「…帰んの」
「ん」

ベッドで力なく座っている浅野君に背を向けて、薄いブルーのブラジャーを胸に当て、ホックを止めた。
サイズの合っていないブラジャーからこぼれ出しそうな胸を収める。

セーラーを着て、スカートも上げて、元通りの姿になり、ベッドに腰を下ろした。
重い腰が上がらない様子の浅野君は、私に貸してくれた服を袋から出し、着始めた。

「送る。危ねえから」
「いいよ、ひとりで…」
「バカか。お前なんか襲われろ」

酷い言葉の裏側に、心配の色が見え隠れしているのは、私の思い上がり?
それを確認するかのように、ずるく呟く。

「昨日、あのまま襲われちゃったら、私どうなってたんだろう」
「…………んなこと考えなくていいよ」

浅野君の気持ちがつかめない。
オナペットだって言ったり、心配してくれたり。突き放したり…。
私、平気なふりしているけど、浅野君の言動ひとつひとつに傷ついて、翻弄されている。


着替え終えた浅野君が、部屋のドアを開けようとする。
ドアノブに掛けた手を握ったら、浅野君は私を思い切り抱きしめた。
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