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17歳の寄り道
第33章 【東野編】高校卒業、東野涼太
目力Aは、こってりアイラインが引かれた目を泳がせながら体をしならせる。

「え、あたしは違うよ……広瀬君のこと、かっこいいとは思うけど……」

「絶対やるなよ。自分を大事にしろよ。女の子なんだし」

「え……」

目力Aの心配をしているつもりはなかった。
俺はただ、股の緩い女が嫌いなだけだ。

「ちょっとごめん。俺、先行くわ」
「あ、う、うん……!」

俺は、心なしか頬を赤らめているように見えるAを置き去りにして改札に入り、電車に飛び乗る。

今、浅野は何してんだ?
超落ち着かねえ。事実確認したい。
何セフレ作ってんだよ!調子乗るのもいい加減にしろ!


俺はスマホを取り出したが、浅野に発信する直前で踏み止まった。

白川の事は、本当に終わったということなのかもしれない。

そうであれば、俺がここまで気に掛ける必要はなく……あいつにとってはお節介でしかない。

晴れる事のない葛藤に唇を噛み、俺はスマホをポケットに入れた。





「おい……久しぶりに会ったのに、何でそんなテンションなんだよ……元気出して行けよ」

ここはミウの車の中。
俺は助手席に乗っている。
ミウも浅野と同じく、早々に車の免許を取得していた。
温厚な彼もさすがに険しい顔をして、俺を見ている。

「……いや。別に。元気だよ」
「せっかくなのにさー。ま、いいや。みんなそろそろ集まり出してるみたいだよ。加納ちゃんももう着いたって」
「ああ。今日藤田コーチは来ないの?」
「なんか、家が大変みたいで来れないらしいよ」
「ふーん……」

サッカー部内では、藤田コーチは部外の生徒ほど煙たがられてはいない。
しかし物凄く厳しく、時には手も出るので、ただただ怖い存在ではあったけど。

「どうせ『早く明日にならねーかなー』って思ってるんだろ?」

ミウは穏やかに車を進めながら笑っている。

「え」
「『早く碧ちゃんに会いたいなー』って」
「……別に、そんなことは……」

白川への想いは完全バレているというのに、俺はこの期に及んで言い逃れを図る。

「涼太……素直にならないと損するよ」とミウはわかったような顔をして言った。

……素直になったって、白川は俺を見てはいないけどな。

告白する前からこの女々しさ。千晴にも叱られそうだ。
女には女らしさを求めるくせに、俺は全く男らしくない。
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