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17歳の寄り道
第33章 【東野編】高校卒業、東野涼太
現地に着くと、懐かしい顔がいた。OBに加え現役部員もたくさんいた。
「あー!涼太ーっ!」
「変わんねー!」
「4ヶ月ぐらいで変わるかよ(笑)」
懐かしの面々とじゃれ合いながら店に入る。
現キャプテンの親が経営する鍋物の店で、座敷貸し切りにしてくれているそうだ。
アルコールは出ないが、ソフトドリンクは飲み放題。
俺とミウが座敷に上がると、女の子二人が末席にいた。
「あっ、東野先輩!ごぶさたしてます」
「加納ちゃん、久しぶり」
加納ちゃんはわかるとして、あと一人は?
隣の女子が加納ちゃんを俺の方へ押し出す。
見たことあるような、ないような顔だ。
「もう、美咲っ……」
加納ちゃんは顔を真っ赤にしてその子に抗議した。
聞いてみると、彼女は加納ちゃんのクラスメイトらしく、小谷さんと言うらしい。天文部だそうだけど、白川と知り合いなのかな。
二人を見ていると、千晴と白川の姿に見えてきて、微笑ましく思った。
そうしているうちに宴会が始まる。
女子二人いるせいか、現役チームは別の意味で盛り上がっている。
「なんかボール蹴りてぇー!」
だいたいこういう集まりでは、感極まり熱く叫ぶ奴が出現する。
大学のお遊びのフットサルサークルとは全然違う懐かしい雰囲気に触発され、俺もミウも誰かが言い出した提案に乗ることにして、みんなで店を出て近くの公園に行った。
現キャプテンが家からボールを持ってきてくれて、蒸し暑い夏の夜に、キーパーの俺がボールを蹴り上げる。
「逆サイー!!」
「声デカすぎだって!」
「苦情来るから」
「コーチいたらブン殴られるから」
酒も入っていないのにテンション最高潮の俺らを、加納ちゃんと小谷さんが笑いながら見ていた。