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17歳の寄り道
第34章 【碧編】夢の途中
「新婚さんなのにねぇ。お医者さんの卵は大変だろうね。でもまあ、うちの園で働くのも過酷だから(笑) 早い時間には帰してあげられないしねぇ」

「それはもう、4年分の経験で身にしみてます…(笑)」

お給料は高いとは言えないし、拘束時間は朝から晩まで。
でも、この仕事だからこそ得られるやりがいがあると私は思っている。


主任には、御主人と中学生と小学生のお子さんがいる。お兄ちゃんと妹だ。

「寂しい想いさせてるかもしれないけど、働く親の背中見せ続けるしかないよね。いろいろすり減らしながら働いてる母親の姿をね」

主任を見ていると、昔凛太が通う保育園の担任だったリカ先生と、働くうちの母の姿が重なる。


「私は、主任みたいな先生になりたいので……私も主任の背中見続けます」

「ふっ。うまいこと言うわねぇ~!感動するじゃないの!気をつけて帰ってね!また明日!」

私の腕を叩きながら主任はからからと笑い、解散した。


おべんちゃらでも何でもない。
これが私の本心だ。





遥も怒涛の試験地獄(遥談)が終わり、苦難を乗り越えて医師免許を取得した。
この4月から、大学の提携病院にていよいよ研修が始まっている。

これからが大変だという事は覚悟しているつもりだ。
夢を目指す遥の邪魔にならないように、支えていけたらと思っている。


3月下旬、2DKの遥のマンションでの同棲生活に終止符が打たれた。

と言っても、住む場所は変わらない。
変わるのは、二人の関係。

この機会を逃したらいつになるかわからないと、国家試験に受かった翌日に、遥が婚姻届を持って帰ってきてくれたのだ。

しかも、遥の分は記入済み。

私は大事な大事なその紙を両手で持ちながら、突然のプロポーズ(?)に混乱していた。
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