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17歳の寄り道
第34章 【碧編】夢の途中
その後、無表情で私の手を下腹部に導く遥。

「なんか興奮してきた。」
「もう~。プロポーズしてくれて、感動してたのに……」

途端にムードがなくなったけど、遥らしい。
私はじろりと遥を睨んで、キスを続けた。
熱を帯びる唇が愛おしく、もどかしげに服を下ろされる。

「……碧」

胸をまさぐられて、体が火照る。
遥の、鋭い目線に捕らえられて、全てを脱ぎ捨てて冷たい床に横たわった。

「……俺と結婚したいと思ってる?」

瞳を覗き込むようにして遥が尋ねる。

「うん。思ってる。ずっと、遥の奥さんになりたかったよ」

そう答えたら、遥は嬉しそうに微笑んだ。

鎖骨から足の先まで、遥は全てに唇を当てがっていき、自分も全てを脱ぎ捨てる。
脱いだままの衣類が散乱している中で、遥に全身を差し出す。



東野君のお陰で遥と再会できた、18歳の夏。
やっぱり私には遥しかいないと確信した。

顔を見ただけで心が掴まれて、会いに来てくれた事が奇跡だと思った。

もう、私になんて会いたくないだろうと思っていたから。


義父の未遂事件のあと遥の心を踏みにじったことを、何度も謝った。

遥は、私の手にあったネイビーのハンカチを取り上げると、尚も涙が止まらない私に、ポケットからスモーキーブルーに白のドットが入ったハンカチを差し出した。


……これ、私のハンカチ?



「結愛が、碧ちゃんに会うなら渡しといてって強引に持たされて…。自分で返せって言ってたんだけど。本当に碧に会う日が来るとは思わなかった」



その時、遥の目にもうっすら涙が浮かんでいた。

意外と涙腺が弱い遥に、私は泣きながら笑った。




結愛ちゃんにも、東野君にも。千晴にも。遥にも。

そして、私の自立を願ってくれた、村上先生にも――。


今でも、みんなに感謝している。


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