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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
高校時代に藤田先生に恋をしてから、同世代は恋愛対象じゃなくなってしまった。

かと言って、当然おじさんならいいって訳でもない。

藤田先生以外の誰かに恋をするのがありえないというか…

私は、過去に囚われたままだ。

学校という環境がやけに懐かしくて、しきりに藤田先生を思い出す。
元気にしているかなぁ。幸せでいてくれたら……いいな。



そう思いながら、1週間ほど経ったある日。

「はーい、須賀ちゃんおはよう!これ別館の分ね〜」

籠に入った封書の塊を有馬さんが指差した。
……別館って、どこ?

「タイミング合わなくてずっと私が配布してたんだけど、体育の先生たちがいらっしゃるから、そこに持ってくの。席には配んなくていいから。置き場があるのよ」

「…はい」

「先生方いらっしゃったら、ご挨拶しとこっか。一緒に行きましょう」

有馬さんの後ろをついていき、出入り口を出たら、すぐに別館があった。
グラウンドから黒いジャージを着た人が校舎まで歩いてきている。

「あっ、藤田せんせーい!」

有馬さんが、黒ジャージに手を振る。

え?藤田?

無表情で振り向いた男性は私の顔を見て、険しい表情が崩れ、口を開けた。

「須賀?」

「あら、お知り合いですか〜?」

有馬さんが藤田先生の腕を肘で突く。

す、すごいな有馬さん。
藤田先生にも物怖じしないなんて。
しかも先生ちょっと嫌がってる?

「翠学園の卒業生ですよ」
と藤田先生は素っ気なく答えた。

「そっかー、教え子なのねー♡事務室のアシスタントで来てくれてます!須賀千晴さん」

「よ、よろしくお願いします!」

先生の顔が警戒してるのが見て取れる……。

「ああ。はい……よろしく」

何ともおかしな空気でぺこぺこと挨拶し合い、有馬さんに言われたボックスに郵便物を入れて、二人で事務室に戻った。
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