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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
そこには、藤田先生。
朝は特に不機嫌な顔。それは昔からそうだった。
チャラメガネ先生は、怒られ待ちの生徒のようにうろたえている。
この場所で、事務スタッフをしつこく誘う事が不謹慎だという自覚はあったようだ…。
「倉谷さん。おはようございます」
と、先生が低く響く声で挨拶する。
「は、はい、おはようございます……」
ぎこちなく挨拶を交わすと、チャラメガネ改め倉谷先生は、私たちを置いて先に行ってしまった。
「……今……助けてくれました?」
不機嫌な先生の隣を歩き、尋ねてみた。
「別に」と、短い一言だけが返される。
ああ、全然。
私は全然、忘れてない。
広く逞しい背中のラインとか、険しい目元とか。
6年経てば、その分の深みは感じるけれど、大好きだった気持ちはすぐに蘇る。
「……お前とは縁があるのかな」
と、先生が呟き、身を乗り出して答える。
「そ、そうかもしれませんよっ」
「腐れ縁だろうけどな」
長身の先生の早歩きに追いつけない。コンパスが違う。
「先生、待ってくださ……わっ」
ヒールが引っかかり躓きそうになった時、先生が振り向いた。
「……粗忽だな。相変わらず」
「ひどい。もう24になったのに。きれいになったと思いませんか?」
先生はくっと笑い、「……多少はな」と少しだけ目元を細めた。
多少……!
微妙だなー!
「じゃあな。事務室の方に迷惑掛けるなよ」
先生はそう言うと、出入り口ではなく、別館の教官室に向かった。
迷惑掛ける前提か…。評価低いなぁ。見てもないのに、見透かされてるみたい。
でも、こんなに心が沸き立つことって、最近あったっけ?
先生が翠学園を辞めていたことも驚いたけれど、再会を果たすなんて、運命だとしか思えない。
……たとえ、腐れ縁でも。
朝は特に不機嫌な顔。それは昔からそうだった。
チャラメガネ先生は、怒られ待ちの生徒のようにうろたえている。
この場所で、事務スタッフをしつこく誘う事が不謹慎だという自覚はあったようだ…。
「倉谷さん。おはようございます」
と、先生が低く響く声で挨拶する。
「は、はい、おはようございます……」
ぎこちなく挨拶を交わすと、チャラメガネ改め倉谷先生は、私たちを置いて先に行ってしまった。
「……今……助けてくれました?」
不機嫌な先生の隣を歩き、尋ねてみた。
「別に」と、短い一言だけが返される。
ああ、全然。
私は全然、忘れてない。
広く逞しい背中のラインとか、険しい目元とか。
6年経てば、その分の深みは感じるけれど、大好きだった気持ちはすぐに蘇る。
「……お前とは縁があるのかな」
と、先生が呟き、身を乗り出して答える。
「そ、そうかもしれませんよっ」
「腐れ縁だろうけどな」
長身の先生の早歩きに追いつけない。コンパスが違う。
「先生、待ってくださ……わっ」
ヒールが引っかかり躓きそうになった時、先生が振り向いた。
「……粗忽だな。相変わらず」
「ひどい。もう24になったのに。きれいになったと思いませんか?」
先生はくっと笑い、「……多少はな」と少しだけ目元を細めた。
多少……!
微妙だなー!
「じゃあな。事務室の方に迷惑掛けるなよ」
先生はそう言うと、出入り口ではなく、別館の教官室に向かった。
迷惑掛ける前提か…。評価低いなぁ。見てもないのに、見透かされてるみたい。
でも、こんなに心が沸き立つことって、最近あったっけ?
先生が翠学園を辞めていたことも驚いたけれど、再会を果たすなんて、運命だとしか思えない。
……たとえ、腐れ縁でも。