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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
血迷って、自分から先生に
「きれいになったでしょ」みたいなことを口走ってしまった。

先生から言ってもらわなきゃ意味がないのに……バカだー!

思いっきり悔やみながら事務室に入る。

「おはようございます!」
「おはよう、須賀ちゃん元気だね!よろしく!」

明るい有馬さんにたんまり配布物を託される。
腕まくりして仕分け職人になり、籠を抱えて高等部と中等部の職員室、別館へと順にまわった。

藤田先生は、いない。
授業かな…。

あ。ダメだ。今は仕事仕事。
帰りにサッカー部見て帰ろう。

迷惑かけないように、仕事に集中。


「須賀ちゃん、今日お弁当持ってる?」
お昼前、有馬さんが声を掛けてきた。

「コンビニでメロンパン買いました」
「菓子パンだけ?うちの子たちみたいね!」

有馬さんの大きな声に、一瞬にして事務室全員にしょぼいランチをバラされてしまって苦笑い。

「外に食べに行かない?定食屋さんしかないけど、おいしいのよー」

「じゃあ、行きます」

定食屋さんかぁ。どんな所だろう。

有馬さんについていくと、門の前に、薄汚れた看板を掲げた定食屋さんが確かにあった。

年季が入り過ぎていて気付かなかった。
店の前に自販機があることは知っていたけど。

「いらっしゃいませー」

どうやらご年配夫婦お二人でやっているようだ。
中も裏切らない古さ。
有馬さんが奥、私が手前の四人席に座った。

「親子丼が美味しいわよ~。私親子丼!」
「じゃあ私もそれにします」

無事に頼み終えて、店内をきょろきょろと見回す。

有馬さんはおしぼりで手を拭きながら笑顔で言った。

「ここね、ちょっと早く来ないとすぐ満員になっちゃうのよ。みんなここに来てるからー」

みんな…?
ちょっとだけ期待する。
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