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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
「4時間目終わったら混むの。私たちは12時から休憩でラッキーなのよ~」

有馬さんがそう言った途端、がらりとドアが空き、続々と紅葉の教員らしき方々ですぐに席が埋め尽くされた。

「後はお弁当持ってきてる先生や、普通に食堂利用してる先生もいるけど、だいたいはココね。あ、こんにちはー!」

顔の広い有馬さんが、先生方と会釈をしている。
私もおしぼりで手を拭こうとすると、有馬さんが「ここ空いてますよー!」と入り口の人に声を掛けた。

「満員になったら相席になるのよー。あ、ここどうぞー、藤田先生と吉川先生!」

え、ふじっ……

振り向いたら藤田先生と若い男の先生が、狭いテーブルとテーブルの間を縫って歩いてきた。

前を歩く藤田先生は、私を見てげんなりした顔をしている……。

そのすぐ後にお店のおばあさんが親子丼を二つ持ってきてくれた。

「私たちすぐに食べ終わるので気兼ねしないでくださいねー」
と有馬さんが先生に言う。

「いえ、ゆっくり召し上がってください」

先生、有馬さんには普通だな。
愛想はないけど。

そして藤田先生は有馬さんの隣に座り、若い先生が私の隣に座った。

この状況……おいしそうな親子丼の味もわからないぐらい緊張する。

「新しい方ですか?」と、若い先生が私を見ながら有馬さんに尋ねた。

藤田先生は腕組みをして、ちらりと視線を寄越す。

「そうそう、産休メンバーの助っ人でねー」
「ずいぶんお若い方ですねぇ」

十分若く見えるその男性教諭は「吉川君も若いだろう」と、藤田先生に突っ込まれていた。


吉川先生。体育の先生らしい。
20代中盤で、藤田先生が紅葉に来た翌年に着任したそうだ。
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