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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
「吉川先生、ダメですよー!須賀ちゃんにちょっかいかけるならメンバーの産休明けにしてね!1年後!」

突然、有馬さんの忠告が飛んだ。

「ちょっかいって…(笑)」

苦笑する吉川先生。
藤田先生は飲んでいた湯呑みをテーブルにごとりと置き「ふたり、お似合いなんじゃないか」と笑った。


緊張で味がしなかったのに、先生のその一言で咀嚼も止まった。

「藤田先生までやめてくださいよ、須賀さん困ってるじゃないですか」

吉川先生が、ね、と私に合図をし、私は作り笑いをする。

「あはは……困ってなんかないですよ」
「ほんと?それならよかった」

吉川先生は、塩顔で少し小柄。
でも体はガッチリしていて、幼い頃からずっと体操をしてきたらしく、優れた成績をおさめているらしい…。
他にも話をしていたけど、心ここに在らずになってしまい、聞いていない…。

お似合いって、先生に言われたくない…。


残りの親子丼を食べ終える頃に、先生たちのカツとじ定食がやってきた。

「じゃあ、お先に行きましょうか。失礼しますねー」

有馬さんについて立ち上がり、お店のおばあさんにお金をお支払いして店を出た。


「おいしかったでしょー?」
「はい、とても…」
「あはは。須賀ちゃんは意外と顔にでるのね?」

有馬さんは曇りない笑顔で笑っている。

「お、おいしかったですよ?」
「うん。また行こうねぇ」

気になる一言を残されながら、お昼からの業務が始まり、有馬さんの真意はわからないままだった。



そんな調子で毎日が過ぎ、1学期が終わろうとしていた。

備品、物品発注、修繕手配も事務室の仕事。
簡単な庶務だけと言われていたが、少しずつ業務内容が増えていく。

派遣コーディネーターから、来月から時給が上がると聞かされ、やりがいを感じ始めていた。
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