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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
「ったく………」

藤田先生の不機嫌な呟きが聞こえてくる。

その後ろでは、無邪気な高いびき……。
私はビクビクしながら助手席に乗っていた。

「誰だ、吉川に無理やり酒飲ませたやつは」

信号を睨み、歩行者を確認する藤田先生。
おっかない顔だ…。

「倉谷先生です……」
「ガキか」

ガキだと思います…。
私が怒られているような気がしてきて、しゅんと小さくなる。

吉川先生は倉谷先生より後輩。
先輩の命令は絶対だという体育会系の血に従ったのか、吉川先生は終業式後の宴会でガブガブ飲んで、酔い潰れてしまったんだけど…

「……相変わらずだな。須賀は」

深いため息に深い眉間のシワ。

「どういう意味でしょうか……」
「お前が男に言い寄られてるのがだ」

潰れる直前。
みんないる前で、吉川先生は「好きです!」と連呼し、私に抱きついて気を失ったのだ。



「まだ一杯も飲んでなかったのに…」

藤田先生は仕事を片付けて来たので、途中参加組だった。席に着いたぐらいで騒動が起きた。

「車出してもらってすいません…私が運転できれば……」
「そうだな」

手厳しい…。即答だった。

でも、先生と話すのは久しぶり。
それに、後ろの高いびきがなければ、ドライブしてるみたい。
そのぐらい喜んだって、バチ当たらないよね?

そして車は教員住宅につき、藤田先生は後部座席に横たわっている吉川先生の頬をぺちぺちと叩いた。

「意識はあるな。おい。起きろ。家だ」
「……えっ?」
「ブン殴られたくなかったら起きろ」
「は、はいっ」

脅して起こした…。
吉川先生はふらふらしながら車を降りて、藤田先生も降りた。

「私も…」と降りようとしたら、「お前はいい。足手まといだ」と制された。


足手まといってひどい。
だけど、先生が言いそうな事ではあるので、むしろ懐かしい。
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