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17歳の寄り道
第35章 【千晴編】24歳、須賀千晴
「……懲りない奴だな」
藤田先生は私の下心などお見通しだったようで。
「お前も大人になったのなら、もう少し自分の言動に責任を持て」
と溜息をつかれた。
「持ってます!私は、先生といたいからお誘いしたまでです。でも、私につきまとわれたら先生が困りますよね…」
「ああ。困る」
言葉では私を突き放しているのに、藤田先生は私の手を取った。
その手を引っ張られて、唇が重なる。
信号が変わると体を離され、先生は冷静な面持ちで運転を始めた。
……激しい鼓動がおさまらない。
キスされた。
なのに、デリカシーのない言葉に、ドキドキは打ち砕かれる。
「酒くせえ」
「仕方ないじゃないですか、宴会だったのに」
「顔も赤いし、そんなに強くないだろう」
あっさり当てられる。
「発言の責任は自分で取れよ」
先生はそれだけ言うと、車を走らせた。
先生の住んでいるらしいマンションの駐車場に着いた。
まごまごと狼狽えていると、「来ないのか」と言った。
「いいんですか、おうち…」
「違うよ。こっちだ。飲みに行くんだろうが」
「え?」
わー。ちょっと、勘違い恥ずかしい!
でも嬉しい。
本当に飲みに連れてってくれるなんて。
すたすたと歩き出す先生を追いかけていると、ヒールの音が響くのに気づいたようで、歩幅を合わせてくれた。
アスファルトの坂を少し下ると、小料理屋が見えてきた。
シブい外観だ。
「悪いが、お前が喜ぶような洒落た店じゃないぞ」
「いいです!楽しみです」
私の知らない先生の世界が見られるだけで、胸がいっぱいだ。
引き戸を開けると、女将さんらしき人が先生を見て、にこりと微笑んだ。
「いらっしゃい。今日は空いてるよ」
と言っても十分賑わっているが、座敷に通された。
台風が来るから、いつもよりはお客も少ないそうだ。
藤田先生は私の下心などお見通しだったようで。
「お前も大人になったのなら、もう少し自分の言動に責任を持て」
と溜息をつかれた。
「持ってます!私は、先生といたいからお誘いしたまでです。でも、私につきまとわれたら先生が困りますよね…」
「ああ。困る」
言葉では私を突き放しているのに、藤田先生は私の手を取った。
その手を引っ張られて、唇が重なる。
信号が変わると体を離され、先生は冷静な面持ちで運転を始めた。
……激しい鼓動がおさまらない。
キスされた。
なのに、デリカシーのない言葉に、ドキドキは打ち砕かれる。
「酒くせえ」
「仕方ないじゃないですか、宴会だったのに」
「顔も赤いし、そんなに強くないだろう」
あっさり当てられる。
「発言の責任は自分で取れよ」
先生はそれだけ言うと、車を走らせた。
先生の住んでいるらしいマンションの駐車場に着いた。
まごまごと狼狽えていると、「来ないのか」と言った。
「いいんですか、おうち…」
「違うよ。こっちだ。飲みに行くんだろうが」
「え?」
わー。ちょっと、勘違い恥ずかしい!
でも嬉しい。
本当に飲みに連れてってくれるなんて。
すたすたと歩き出す先生を追いかけていると、ヒールの音が響くのに気づいたようで、歩幅を合わせてくれた。
アスファルトの坂を少し下ると、小料理屋が見えてきた。
シブい外観だ。
「悪いが、お前が喜ぶような洒落た店じゃないぞ」
「いいです!楽しみです」
私の知らない先生の世界が見られるだけで、胸がいっぱいだ。
引き戸を開けると、女将さんらしき人が先生を見て、にこりと微笑んだ。
「いらっしゃい。今日は空いてるよ」
と言っても十分賑わっているが、座敷に通された。
台風が来るから、いつもよりはお客も少ないそうだ。