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17歳の寄り道
第36章 【千晴編】台風の夜
洗面所で、服を次々に脱ぎ捨てる。

浅いカゴの中には着替えとタオルが置かれていた。
これを使えということらしい。

先生に向かって吐き散らかすなんて(自分にもがっつりだけど)、私マジで何やってんのっ…!
いよいよガチで嫌われるよ!

泣きたい気持ちで浴室に入ったら、先生もさっきお風呂に入っていたような湿気が感じられた。
ほんとごめんなさい、ごめんなさい…!

私に吐かれながらも、家まで連れてきて、介抱してくれたんだよね…。

ザアッとシャワーを頭から浴びて、図々しくもシャンプーをお借りしようかと棚を見ると、男性用のスッキリ系しか置かれていなかった。
ボディソープは…固形せっけん。


テンパってて気付かなかったけど、今更だけど、ここ、先生の家だよね…。
奥さんとは一緒に住んでいないのかな。

さっきから、奥さんの形跡が見当たらない。
奥さんだけじゃない、惇君も…誰も。

シャンプーの選択肢はなく、スッキリメントール配合シャンプーで髪を洗った。



「ありがとうございました……」

先生の服をお借りして、タオルで髪を拭きながら、ソファに腰掛けている先生の後ろ姿にお礼を述べた。

窓から見える景色で、ここがマンションの高層であることがわかる。

最近この辺りも少しずつ開発されていて、商業施設ができたり、集合住宅も増えている。

新築のおしゃれな内装は、先生のイメージとは違っている。
やけにおしゃれなのに、キッチンには缶コーヒーとビールの缶。と、つまみ…。
確かにたくさん飲んでいそうだ。

すると、先生が振り向いた。

「家に連絡しなくていいのか」
「あ、メールします…」

この歳にもなると、親は別に泊まろうが干渉してこないけど、台風だから一応連絡。

……っ、ていうか…。

ここに泊まるの?私…


メールを打つ指が止まったと同時に、先生が立ち上がる。
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