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17歳の寄り道
第3章 【碧編】少女の殻を脱いで
制服を着て、鞄を抱きしめながら階段を下りて行くと、玄関先で浅野君とさっきの女の子がいて、私に注意を向けた。

「碧、帰んの?送る」

浅野君はシャツとトランクス姿…
結愛ちゃんは浅野君の隣で、神妙な顔で私を見つめている。

「いいよ、ひとりで帰るから…」

これ以上惨めな思いしたくないよ。
まだあそこも変だし、なんか泣きたい気分なんだもん。
浅野君の前で泣きたくないし、お母さん心配してるし…

そう頭に浮かべながら二人の顔を見ないようにして、靴を履き、重いドアを開けて出た。

車庫前に無造作に置かれている、私の白い自転車の鍵はついたまま。
浅野君が着替え完了する前に、漕ぎださなきゃ。

えいっとサドルに跨り、足で前輪にあるライトのスイッチを点け、夜道を進み出した。
ちょっと痛いから立ち漕ぎにした。


後ろから浅野君の声がしたけど、知らない。
言い訳は今日は聞かない。

泣きたい。惨め。恥ずかしい。穴があったら入りたい。
あんなとこ触られて、浅野君のあんなとこ見ちゃって。
浅野君と繋がっちゃって…

でも、たぶん、私はもう大好きになってしまってて。
私の中に、浅野君が刻まれてる。



混乱する頭は冷えないまま、家に着いたら、母にがっつり怒られた。

「遅くなるなら連絡しなさい!最近物騒な事件も起こってるんだから、危ないでしょう!」
「ごめんなさい…」

怖い顔をしている母に、義父が口を開いた。

「まあまあ、碧ちゃん。ごはん食べなさい。年頃だし、いろいろあるんだよな。ちゃんとわかってるよ。碧ちゃんは、お母さんに迷惑かけないようにって、過ごしているよ」

義父がそう取りなしてくれて母のお説教は中断になり、夕食にありつく事が出来た。
そして、義父の言葉に、避け続けていることを少し申し訳なく感じた。

義父との間に時折感じる、性を匂わせる気まずい空気は、自意識過剰だったのだな…と反省したのだが。
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