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17歳の寄り道
第38章 【千晴編】スタートライン
「職人だね、碧」
「ふふ。こういうの作り置きしてると何でも使えるんだぁ」
「子供たち喜ぶだろうね。あ。これカワイイ」
緑色の怪獣発見。この顔、目が怖くて先生に似てる。
「気にいったならあげるよ?」
「ホント?じゃあもらう。ありがとう」
先生に似てるからほしい、とは、照れて言えず…。
碧は、にこにこと笑って立ち上がる。
「コーヒーおかわりいれようか?」
「あ、ありがとう。いただきます」
部屋中に豆のいい香りがしていて癒される。
私は砂糖を入れるけど、碧はブラックで飲んでいた。
いつからか、コーヒーを飲む時は必ずブラックで、豆から挽いて淹れるらしい。
私たちより一足先に社会人をしている碧は、いつも笑顔なのはかわらないけど、いつの間にかおどおどした感じはなくなっている。
結婚もしてるし、今は私から泣きついたり頼ったりして、人生の先輩になっている。
「それにしても、藤田先生も学園辞めちゃってたんだね…」と碧。
「“も”?他に誰か辞めたっけ」
私が言うと、碧は「村上先生だよ、担任だったのに」と言う。
ああ、そうか。そうだったね。
村上から堤君の記憶にすり替わってた。
淹れてくれたコーヒーに砂糖とミルクを入れ、スプーンで静かにかき混ぜた。
「………元気かな。村上先生」
碧の表情を見れば、何か想いを残しているのはわかった。
それが何の感情なのかはわからないけれど。
「暑中見舞いでも出したら?」
「今もあそこに住んでるかどうかわかんないよ。引っ越ししてるかも」
「結婚しましたの連絡は?式挙げてないんだし、食事会とか開いて呼んだら?」
「えーっ、いいよ!遥に怒られる!」
「え?なんで遥が怒るの?」
ぐっ…と碧が押し黙ったのが見てとれた。
「え。何?」
「何でもない。………って言いたいけど…………」
え?え?
碧は、コーヒーのカップを置くと、「千晴が話してくれたから、私も話す……」と、昔話を始めた。
17歳の出来事を。
「ふふ。こういうの作り置きしてると何でも使えるんだぁ」
「子供たち喜ぶだろうね。あ。これカワイイ」
緑色の怪獣発見。この顔、目が怖くて先生に似てる。
「気にいったならあげるよ?」
「ホント?じゃあもらう。ありがとう」
先生に似てるからほしい、とは、照れて言えず…。
碧は、にこにこと笑って立ち上がる。
「コーヒーおかわりいれようか?」
「あ、ありがとう。いただきます」
部屋中に豆のいい香りがしていて癒される。
私は砂糖を入れるけど、碧はブラックで飲んでいた。
いつからか、コーヒーを飲む時は必ずブラックで、豆から挽いて淹れるらしい。
私たちより一足先に社会人をしている碧は、いつも笑顔なのはかわらないけど、いつの間にかおどおどした感じはなくなっている。
結婚もしてるし、今は私から泣きついたり頼ったりして、人生の先輩になっている。
「それにしても、藤田先生も学園辞めちゃってたんだね…」と碧。
「“も”?他に誰か辞めたっけ」
私が言うと、碧は「村上先生だよ、担任だったのに」と言う。
ああ、そうか。そうだったね。
村上から堤君の記憶にすり替わってた。
淹れてくれたコーヒーに砂糖とミルクを入れ、スプーンで静かにかき混ぜた。
「………元気かな。村上先生」
碧の表情を見れば、何か想いを残しているのはわかった。
それが何の感情なのかはわからないけれど。
「暑中見舞いでも出したら?」
「今もあそこに住んでるかどうかわかんないよ。引っ越ししてるかも」
「結婚しましたの連絡は?式挙げてないんだし、食事会とか開いて呼んだら?」
「えーっ、いいよ!遥に怒られる!」
「え?なんで遥が怒るの?」
ぐっ…と碧が押し黙ったのが見てとれた。
「え。何?」
「何でもない。………って言いたいけど…………」
え?え?
碧は、コーヒーのカップを置くと、「千晴が話してくれたから、私も話す……」と、昔話を始めた。
17歳の出来事を。