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17歳の寄り道
第38章 【千晴編】スタートライン
「楽しかったか」
「はい。高校時代ずっと仲良い子だったので。高校の同級生と結婚したんですよ」
碧と会った日も、先生のいる家に寄った。
小料理屋さんの隣にお惣菜屋さんがオープンしたので、何品か買い込んでマンションに訪れた。
私と付き合い始めて、先生のお酒の量は減ったらしい。
「同級生?」
「浅野君覚えていませんか?転校しちゃいましたけど、今研修医らしいです」
「へえ。浅野か。大したものだな。夢を見つけたなら何よりだ」
そう述べる先生に、漠然とモヤモヤした。
……私にだって夢はあるのに。
好きな人と家庭を作って、ママになるという夢が。
「あ、そうだ。これ哲さんに似てませんか?」
紙で出来た緑の怪獣を先生に渡す。
「……似てるのか…?」
「似てますよ!目が」
「…………」
先生は怪獣を目を凝らして見ていて、一層似ていた。
くすくす笑うと、先生もふっと表情を緩ませて、私に怪獣を返す。
「似てるかはわからんが、器用に作るもんだな」
「そうですね。碧は幼稚園の先生ですから」
「そうか。立派だな」
立派…。
私は立派じゃない?
バリバリ働いてるわけじゃないし。
って、どうした私。
卑屈……。
「千晴?」
先生が私の顔を覗いた。
「あ、……お風呂、沸かして来ます」
そそくさと退席して、バスルームに逃げ込んだ。
先生から合鍵はもらっていない。
ほとんど毎晩入り浸っているし、半同棲のようなものだけど…。
エントランスで、部屋番号+呼出。
オートロックのマンションだから、それをしないと入れない。
先生が家にいないと、入れてもらえない。
付き合い始めて、そんなに経っていないのに、一度卑屈になると不安に苛まれて、言葉の少ない先生につい将来を確認したくなってしまう。
全然余裕ない。
先生を幸せにしてあげなきゃいけないのに。
「はい。高校時代ずっと仲良い子だったので。高校の同級生と結婚したんですよ」
碧と会った日も、先生のいる家に寄った。
小料理屋さんの隣にお惣菜屋さんがオープンしたので、何品か買い込んでマンションに訪れた。
私と付き合い始めて、先生のお酒の量は減ったらしい。
「同級生?」
「浅野君覚えていませんか?転校しちゃいましたけど、今研修医らしいです」
「へえ。浅野か。大したものだな。夢を見つけたなら何よりだ」
そう述べる先生に、漠然とモヤモヤした。
……私にだって夢はあるのに。
好きな人と家庭を作って、ママになるという夢が。
「あ、そうだ。これ哲さんに似てませんか?」
紙で出来た緑の怪獣を先生に渡す。
「……似てるのか…?」
「似てますよ!目が」
「…………」
先生は怪獣を目を凝らして見ていて、一層似ていた。
くすくす笑うと、先生もふっと表情を緩ませて、私に怪獣を返す。
「似てるかはわからんが、器用に作るもんだな」
「そうですね。碧は幼稚園の先生ですから」
「そうか。立派だな」
立派…。
私は立派じゃない?
バリバリ働いてるわけじゃないし。
って、どうした私。
卑屈……。
「千晴?」
先生が私の顔を覗いた。
「あ、……お風呂、沸かして来ます」
そそくさと退席して、バスルームに逃げ込んだ。
先生から合鍵はもらっていない。
ほとんど毎晩入り浸っているし、半同棲のようなものだけど…。
エントランスで、部屋番号+呼出。
オートロックのマンションだから、それをしないと入れない。
先生が家にいないと、入れてもらえない。
付き合い始めて、そんなに経っていないのに、一度卑屈になると不安に苛まれて、言葉の少ない先生につい将来を確認したくなってしまう。
全然余裕ない。
先生を幸せにしてあげなきゃいけないのに。